金価格が堅調な展開を続けている。今年の動きを見ても、株式などと比べて上昇率は相応に安定している。そうした金価格の動向から、投機筋なども購入に動いているとの観測もあり、当面、右肩上がりの展開を続けるとの見方が多い。
金価格が上昇する背景に、世界的にタイトな需給バランスがある。人々の金に対する一種の憧憬(しょうけい)もあり、需要は根強い。一方、供給はなかなか増えない。インドや中国、中東などで、個人の宝飾品ニーズは右肩上がりの基調を維持している。元々、金は安定した鉱物で耐食性に優れる。多くの人に保有の欲求があり、金の価値は太古の時代から安定してきた。それに対して、供給は伸び悩みの状態にあるようだ。近年の世界的な物価上昇で、掘削に必要な電気代、装置の維持費、人件費などは増えた。生産量はほぼ横ばいで推移している。金の鉱脈は見つかりにくいといわれる。最近の金価格の上昇については、金の価値が上がったというより、むしろドルなど通貨の価値が下がっていると見た方がよいかもしれない。
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