公益財団法人日本生産性本部は11月13日、「日本の労働生産性の動向2024」を公表した。これによると、23年度の日本の時間当たり名目労働生産性(就業1時間当たり付加価値額)は5396円で、現行基準のGDP(国内総生産)を基に計算できる1994年度以降で最も高い水準になった。また、1人当たり名目労働生産性(就業者1人当たり付加価値額)は883万円だった。
物価上昇を織り込んだ23年度の時間当たり実質労働生産性上昇率は前年度比プラス0.6%で、3年連続でプラスとなった。経済の拡大(実質経済成長率プラス1.0%)が労働生産性上昇に寄与する一方、就業者数の増加(プラス0.4%)が労働生産性上昇率を下押ししたことが影響した。
23年度の1人当たり名目労働生産性は883万円。物価上昇の影響もあり、名目ベースでは1994年度以降で最も高い水準になっている。実質ベースの1人当たり労働生産性上昇率は前年度比プラス0.5%と3年連続でプラスになったものの、22年度(プラス1.3%)から0.8%?落ち込んだ。
就業者1人当たり(プラス0.5%)と就業1時間当たり(プラス0.6%)で労働生産性上昇率にほとんど差がないのは、労働時間(マイナス0.04%)がほとんど変化していないためと同本部は分析。23年度の労働時間は、一般労働者で増加しているが、相対的に労働時間の短いパートタイム労働者の比率が上昇しており、それが労働時間増を相殺したとみている。
労働生産性の動向を業種別に見ると、サービス産業の労働生産性上昇率(マイナス0.2%)は、20年後半からおおむね0%近傍で推移しており、停滞基調に変化は見られない。小売業は22年度に労働生産性が上昇したが、23年度に入って減速。一方で、人手不足が深刻なこともあり、賃金は上昇が続いている。
飲食店については22年後半に底入れし、その後緩やかに回復。一方、賃金は、24年に入って再び上昇に転じており、賃上げに生産性向上が追い付かない状況にある。
製造業の労働生産性は、20年第2四半期の急激な落ち込みからはⅤ字回復したものの、その後も停滞が続いている。
詳細は、こちらを参照。
最新号を紙面で読める!