日本政策金融公庫はこのほど、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」の結果を公表した。2018年12月において、正社員が「不足」と回答した企業割合は、全業種計で60・8%となり、前年(58・0%)から2・8ポイント上昇した。「適正」は34・5%、「過剰」は4・7%となった。
正社員の過不足感について業種別に見ると、運送業(83・5%)が最多。次いで、建設業(74・7%)、情報通信業(72・7%)などで「不足」と回答した割合が高かった。
人手不足の影響について見ると、「売上機会を逸失」(37・3%)と回答した企業割合が最も高く、次いで「残業代、外注費などのコストが増加し、利益が減少」(29・1%)、「納期の長期化、遅延の発生」(13・8%)となった。人手不足への対応について見ると、「従業員の多能工化」(41・8%)が最も高く、次いで「残業を増加」(38・6%)、「業務の一部を外注化」(33・8%)となった。
18年12月の正社員数の増減を見ると、「増加」と回答した企業は32・1%となり、17年実績(30・8%)と比べて1・3ポイント上昇した。また、「減少」は19・5%となり、17年実績(18・7%)と比べて0・8ポイント上昇した。「増加」と回答した企業を業種別に見ると、情報通信業(60・5%)、運送業(34・7%)、製造業(34・0%)などで割合が高かった。
従業員数の増加理由を見ると、「将来の人手不足への備え」が54・1%と最も高くなっており、将来を見据えて人材育成に取り組む姿勢がうかがえる。また、「受注・販売が増加」の割合も42・7%と高くなっており、業況の回復の影響も見られる。
減少理由を見ると、「転職者の補充人員を募集したが採用できず」が59・3%で最多。次いで「定年退職者の補充人員を募集したが採用できず」が23・2%となっており、雇用環境の改善が続く中、思ったように採用ができない現状がうかがえる。
調査は2018年12月に実施。4671社から回答を得た。
詳細は、https://www.jfc.go.jp/n/news/を参照。
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