独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は12月18日、「中小企業のDX推進に関する調査(2024年)」の結果を公表した。同調査によると、DXに取り組んでいる企業(検討含む)は42.0%で前回調査(23年8月)より10.8ポイント上昇。業務の効率化やコスト削減・生産性向上などで成果を上げたとする企業が多かった。専門人材の不足や資金面が引き続きDX化の課題となっている。
調査は、10月29日~11月5日に、全国の中小企業(個人事業主を除く)1000社に対しウェブアンケートを実施したもの。DXの取り組み状況を見ると、「既に取り組んでいる」「取り組みを検討している」と回答した企業は合わせて42.0%で、前回調査より10.8ポイント上昇した。
従業員規模別では、101人以上の企業は「既に取り組んでいる」「取り組みを検討している」の合計が71.9%である一方、20人以下では25.4%と大きな差があった。業種別では製造業、サービス業(情報通信)で「既に取り組んでいる」「取り組みを検討している」企業の割合が高い。DXの進捗(しんちょく)状況は、「アナログで行っていた作業やデータのデジタル化」の段階が35.7%(前回調査より3.3ポイント減少)で最も高かった。
DXに「既に取り組んでいる」「取り組みを検討している」企業の具体的な取り組み内容は、「文書の電子化・ペーパレス化」が57.6%で最も高いが、前回調査(64.4%)より減少。次いで「営業活動・会議のオンライン化」「ホームページの作成」と続くが、いずれも前回調査を下回っている。一方、「デジタル人材の採用・育成(16.9%)」は前回調査より2.5ポイント増加、「AIの活用(14.3%)」は同0.8ポイント増加した。
DXの成果については、「成果が出ている」「ある程度成果が出ている」と回答した企業は81.6%で、前回調査(76.7%)を4.9ポイント上回った。具体的な成果の内容は、「業務の自動化、効率化(56.3%)」「コストの削減、生産性が向上(55.0%)」が高い割合を示し、次いで「働き方改革、多様な働き方の実現(37.7%)」「データの一元化、データに基づく意思決定(36.4%)」となっている。
DXの取り組みに当たっての課題は「ITに関わる人材が足りない(25.4%)」「DX推進に関わる人材が足りない(24.8%)」が上位だが、いずれも前回調査より減少。一方、「情報セキュリティの確保が難しい(14.0%)」が前回調査を3.4ポイント上回った。
20人以下の企業では「予算の確保が難しい(26.4%)」「具体的な効果や成果が見えない(22.2%)」が上位となり、前回調査で最多だった「何から始めてよいか分からない」は18.7%で前回調査より9.0ポイント減少した。
DX推進に向けて期待する支援策については「補助金・助成金」とする割合が41.6% と最も高い。「専門家の派遣(16.4%)」「公的支援機関や専門家による経営相談(16.0%)」「セミナーの開催(14.4%)」などが前回調査より増加した。
中小機構はDX推進支援について、「資金面のニーズが高いが、IT・DX人材育成のための研修やセミナー、経営相談、専門家の活用など多様な支援ツールの継続的な展開が求められている」とみている。
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