「エビデンス」とは証拠や根拠などを意味しますが、あまたある健康情報の真偽を見極めるには、このエビデンスが重要となります。具体的にどんなことを注意すればいいのでしょうか。
例えば、「この食品は認知症の予防効果がある」というネット記事を読んだとします。この場合、食品の表示を確認することが先決です。「特定保健用食品」「栄養機能食品」「機能性表示食品」と書かれているものは、効果や機能の表示が認められています。健康食品の安全性・有効性といった情報は、ネットなどを利用して内容を精査しましょう。記事や広告によくある“体験談”はあくまでも個人の意見です。大多数の人に有効と証明するものではなく、人によっては有害なこともあり得ます。データなどの提示がなく、体験談を強調するものは注意が必要です。
ほかの例で、膝に痛みを抱える人がネットで膝痛緩和体操の動画を見つけたとします。それを試していいかは、まず整形外科を受診して自分の膝の状態を把握した上で判断しましょう。また、動画配信者がどういう人かプロフィールやバックボーンを調べ、信頼できるかどうかを見極めることも重要です。 情報の発信者がその分野の専門家でも、意見が真逆なこともあります。例えば、「ワクチンは予防効果が高い」「ワクチンは打たない方がいい」などです。この場合、厚生労働省や保健所をはじめとした公的機関のほか、大学病院など多くの専門家の意見を比較検討することが大切です。
インターネットやSNS上で提供される健康情報の中には、根拠があいまいなものや現在の標準的な医療に合わないものもあります。それを利用して調子が悪くなったり被害を受けたりしても、その責任は自分にあります。そこで正しいエビデンスに基づいた情報を探す際、次のポイントを覚えておきましょう。
・科学的根拠が示されているか
・書いた人や発信した人は誰か
・ほかの情報と比較してみたか
・情報の目的は何か
・情報は最新のものか
これらを念頭に、情報を冷静に検証・評価して賢く利用していきましょう。