「ヘルスリテラシー」という言葉を耳にしたことはありますか。世界保健機関(WHO)はヘルスリテラシーを、「健康増進や維持に必要な情報にアクセスし、それを理解して利用していくための、個人の意欲や能力を決定する、認知・社会的なスキル」と定義しています。簡単にいえば、健康や医療に関する正しい情報を手に入れ、理解して活用する能力のことです。
今の時代、インターネットなどの発達でさまざまな情報が手軽に手に入るようになりました。他方でそれを自分の健康管理に役立てようとする場合、あふれる情報の中から信頼できるものを見極め、理解する上でヘルスリテラシーが必要になってくるのです。
とはいえ、日本人は全般的にヘルスリテラシーが低い傾向にあります。その要因として、他国に比べて医療にかかりやすい環境にあり、「具合が悪くなったら病院に行けばいい」という感覚があることや、インターネットの情報をうのみにしてしまいがちなことなどが、向上を阻んでいると思われます。
ヘルスリテラシーには個人差がありますが、低いままだと次のような問題や不都合が発生する可能性があります。
・病気やその治療に関する誤った情報に振り回される ・病気の兆候を見逃してしまう ・健康への関心が高まらない ・適切ではない治療法を選択する ・誤った薬を服用して健康被害を招く ・医療費がかさむ ・効果のない健康法を継続する ・健康診断や予防接種を適切に利用できない ・医師や看護師に症状を的確に伝えられない ・治療や手術に過剰な期待をして不満や後悔が残る など
そこで、今年の「今日から始める〝大人〟健康生活」のテーマは、ヘルスリテラシーとします。健康に関する正しい知識をしっかり身に付けられるよう、分かりやすく解説します。医療技術や薬剤は目覚ましい進歩を遂げていて、昨日までの常識が今日には非常識となることも珍しくありません。自分を守るためにも、ヘルスリテラシーを高めていきましょう。