独立行政法人日本貿易振興機構(ジェトロ)は2月4日、「2024年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果(速報版)を公表した。同調査では、最も重視する輸出先は米国となり、今後事業拡大を図る国・地域も米国とする回答が最も多かった。主要原材料・部品の海外調達先としては中国が首位であるが、中国ビジネスに対する意欲の回復は見られない結果となった。
同調査は24年11月6日~12月6日、ジェトロの会員、サービス利用企業など海外ビジネスに関心の高い日本企業9441社を対象にオンライン・郵送形式によるアンケートを実施したもの。3162社より回答を得た(有効回答率33.5%)。
調査結果によると、24年度の輸出見通しについては輸出企業の約5割が前年度比で輸出数量が「増加」すると回答。最も重視する輸出先は米国が25.8%で首位となった。中国は14.8%で3年連続減少した。
25年度の海外売上高についても、前年度比で「増加」を見込む企業の割合は全体の5割超となり、国内で売上高増加を見込む企業の割合を上回った。今後事業拡大を図る国・地域は米国(38.6%)の回答比率が最も高く、次いで中国(24.9%)、EU(23.7%)、ベトナム(22.0%)、インド(18.1%)の順となった。大企業ではインド(33.7%)での事業拡大意欲が最大だった。また、新規の海外進出では米国への新規拠点設立に意欲を示す企業が増加している。
主要原材料・部品の海外調達先では、中国からの調達が最多(製造業で48.4%、非製造業で48.6%)。次いで米国(同12.8%、7.5%)、ASEAN(同11.6%、14.4%)の順となっている。中国ビジネスの拡充や新規ビジネスを検討する企業の割合は33.2%で、過去最低を記録した前年から横ばいだった。
地政学リスクの高まりによる主原材料・部品の調達への影響について、「すでに影響が生じている」とする企業は20.5%。「現在影響はないが、今後の影響への懸念あり」とする企業は49.9%となった。業種別では運輸業の4割は「すでに調達に影響が生じている」と回答している。地政学リスクへの対応策は「調達先の分散・多元化」(61.2%)が最多だった。
外国人材の雇用については、49.7%の企業が外国人材を雇用しており、そのうち54%の企業で「高度外国人材」を雇用。3割以上の企業が今後も外国人材を「増やす、新たに雇用する」と回答しており、在留資格別では高度外国人材(技術・人文知識・国際業務)の雇用拡大を見込む割合が高い。
一方、外国人材雇用の課題としては、6割弱の企業が「外国語対応が難しい」「採用活動に必要なノウハウ・知見が不足」を挙げた。
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