日本商工会議所は2月20日、「東日本大震災からの『復興・創生』に関する要望」を取りまとめ、公表した。要望では、官民を挙げた取り組みにより復興が着実に進む一方、原子力災害の克服・福島の再生は緒に就いたばかりであると指摘。福島第一・第二原子力発電所の廃炉は、今後長期にわたって行われることから、国は「第2期復興・創生期間」終了後も十分かつ安定的な財源・制度を確実に確保し、原発事故の完全な収束に向けて総力を挙げた取り組みをすべきと主張している。また、福島の再生には、「地域の稼ぐ力の向上」が不可欠との認識の下、日本産水産物の輸入規制に対する早期撤廃への働き掛けなどを要望するとともに、新たな産業集積の促進などに必要なインフラ整備などについて、継続的な支援を求めている。
要望は、被災地域の訪問で得られた現場の声や実情、東北六県商工会議所連合会、東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会から寄せられた意見・要望などを踏まえて作成。具体的な要望項目は、「原子力災害の克服、福島の再生」「創造的復興の実現に向けた取り組みの加速・深化」の2本柱で構成している。
「原子力災害の克服、福島の再生」では、「第2期復興・創生期間」終了以降の継続的な支援のほか、ALPS処理水の海洋放出などに伴う諸外国の日本産水産物の輸入規制に対して、あらゆる機会を捉えて早期撤廃を強力に働き掛けることなどを要望。また、「福島イノベーション・コースト構想」の推進に当たり、地域経済への波及効果の最大化に向けた取り組みが必要と指摘するとともに、観光コンテンツの高付加価値化やホープツーリズムなど、観光誘客に向けた取り組みの後押しなどを求めた。
「創造的復興の実現に向けた取り組みの加速・深化」では、震災以降、相次ぐ自然災害やコロナ禍などで、地域や事業者によって復興のステージが異なる実情を指摘。被災地の中小企業が置かれているステージに応じて、中小企業の経営再建を後押ししていく必要性を強調するとともに、東日本大震災から得た教訓・ノウハウなどを踏まえ、平時からの「事前防災」の推進などを求めている。