会津若松商工会議所(福島県)漆器部会はこのほど、地域事業者や教育機関など向けに会津塗の器を無料でレンタルするサービスを開始した。同事業は、イベントなどで会津塗の器を使ってもらい、会津ならではの伝統的な食文化に触れる機会を増やしてもらおうというもので、子どもの食育などにも活用できる。漆器産業の市場規模が縮小傾向にある中、食との結び付きが深い業界に働きかけ、需要の掘り起こしにつなげる狙いもある。
レンタルされる漆器は、おわん42個、手塩皿40枚、大皿9枚。レンタルは一つから可能で、期間は1日~長期にわたるまで可能だ。
きっかけとなったのは、会津の地場産業である漆器部会と醸造・食品製造部会の連携による新商品開発等研究事業。2024年3月に行った市内のこども園でのみそ仕込み体感芋煮会に会津塗のおわんなどを提供したことだ。
こども園の芋煮会では器に園児たち自身が仕込んだみそや野菜を使った料理を盛り付けて親子で楽しんだ。その際に、漆器部会の会員事業者から会津塗の歴史について説明したところ、参加者から「会津塗の温もりと故郷の食文化の良さを感じるきっかけになった」という感想が寄せられた。
同所は会津塗をこども園のほか、団体の料理教室などにも貸し出しており、今後は飲食店にも貸し出せればと考えている。申込みが多くなった場合、漆器を増やすことも検討している。 同所担当者は「会津塗を実際に使用し魅力や特徴を知ってもらい、販売促進につなげたい」と話している。