一宮商工会議所(愛知県)は2月12日、「生成AI技術活用に向けたワーキンググループ成果発表会」を開催し、3月11日に成果報告書を公表した。同所は「生成AI技術の利活用に関心はあるが、何に導入したらよいか分からない」などの悩みを持つ事業者向けに2024年9月から「生成AI技術活用に向けたワーキンググループ」事業を実施し、生成AIの活用を業務の見直し・効率化、多様な人材の活躍や売り上げ向上などのきっかけとしてもらうことを目指してきた。発表会や報告書では、資料作成時間の短縮や翻訳システムの改善などワーキンググループで学んだ内容やその具体的な成果について公表している。
同ワーキンググループには市内の8事業者が参加した。自社が抱えている課題に合わせてAグループ(SNSコンテンツ作成)、Bグループ(業務報告書や採用における評価基準の作成)、Cグループ(社内規定や社員教育資料作成)の3グループに分かれて活動。それぞれのグループに生成AI・デジタルの専門家がファシリテーターとして関わった。
ワーキンググループは全てリアル形式で開催した。24年9月~12月の間に、3回のグループディスカッションと岐阜県羽島市にある配信者向けスタジオ「しろくまスタジオ岐阜羽島」への先進事例見学を実施。また、発表会までの全期間で随時、ファシリテーターによる個別相談会も行った。
発表会では、各グループがChatGPTを中心に、CanvaやGemini、Claude、Gammaなども活用して行った業務改善について発表した。Aグループ(SNSコンテンツ作成)は「SNS投稿に時間がかかっている」「日常業務に追われて新事業のPRができない」という課題に対し、SNSへの投稿文案や動画のシナリオ作成に生成AIを用いて時間短縮を実現。Bグループ(業務報告書や採用における評価基準の作成)では生成AIを用いた外国語翻訳システムの改善、塗装業務での不具合報告書や中途採用の履歴書などの書類分析により、業務品質を向上させた。Cグループ(社内規定や社員教育資料作成)では製造業の監査項目や社内規定について生成AIを活用した自動回答システムを構築し、業務効率化を図った。
同所担当者は「事業を通じて、多様な業種の企業が生成AIの実用性を実感し、業務改善に向けた具体的なヒントを得る貴重な機会となった。小規模事業者でも十分に活用できることが確認され、実際に業務へ取り入れる企業も増えている。今後は、各企業における生成AIの活用がさらに進むとともに、今回の活用事例が地域企業へ共有され、業務の効率化や新たな価値創出につながることを期待している」と話している。