検討会で取りまとめ
経済産業省は5月14日、「サイバーセキュリティ人材の育成促進に向けた検討会最終取りまとめ」を公表した。同省は国内のサイバーセキュリティ人材不足に対応するため、2024年7月から7回にわたり同検討会を開催し、有識者による議論を進めてきた。最終取りまとめでは、国内で約11万人不足しているともいわれるサイバーセキュリティ人材について、専門家である情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)を30年までに5万人に増やす目標を掲げるとともに、育成に向けた施策の方向性について提示している。
サイバーセキュリティ人材育成に向けた施策の方向性としては、具体的に①セキュリティ・キャンプの拡充②登録セキスペの活用促進③中堅・中小企業などにおける人材確保策の提示――の三つを挙げている。
①のセキュリティ・キャンプは学生を対象とした情報セキュリティに関する高度な技術・倫理教育で、世界で活躍する人材を輩出するなどセキュリティ人材育成に一定の効果は上げているものの数が不足している。そこで今後の施策として、裾野の拡大に向けた新たなキャンプ(セキュリティ・キャンプ コネクト)の実施、修了生の継続的な知見研さん・社会還元・活躍状況共有などを目的としたコミュニティーの整備などを提示した。
②の登録セキスペ(国家資格)はサイバーセキュリティに係る専門的な知識・技能を備えた人材。16年に資格創設したものの、登録者数の増加につながっていない、活躍の場がない(ミスマッチ)、資格更新時の講習費用の負担などが課題となっている。そこで、登録セキスポのアクティブリストの整備、中小企業支援機関などを通じた中小企業との人材マッチング、所定の実務経験を有する者を対象とした資格更新時の講習のみなし受講制度の導入などを提示している。
③の中堅・中小企業などにおける人材確保策については、セキュリティ人材確保の取り組みを実施している企業が少ない、セキュリティ教育の適切なコンテンツが分からない、既存のセキュリティガイドラインの長文を読むことが困難、などが課題となっている。そこで、既存のガイドラインを整理した中堅・中小企業向けの実践的方策ガイドの作成、人材を育成する際に参照できる教材・資格なども提示した。
これらの施策により、トップ人材のスケールの拡大(2倍以上)、セキュリティ人材のキャリアの魅力向上、登録セキスペの増加(30年までに5万人)と活躍機会の増加、中堅・中小企業内での内部人材育成の容易化などを目指す。
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