福井県勝山市は「恐竜王国」として名高い。その勝山市がジオパークの認定を「返上」するというニュースに驚いた▼
同市は、恐竜化石が多く見つかる日本でもまれな地形・地質で、2009年から日本ジオパークの認定を受けていた。しかし、23年の審査で「恐竜博物館や福井県立大学との連携が十分でない」などの指摘を受け、今年再審査するという条件付き再認定となっていた▼
ニュース報道の範囲ではあるが、市や県などでつくる協議会では、指摘のあった連携は十分できており「審査の在り方には疑問がある」として賛成多数で認定の返上を決定したという▼
日本ジオパークは現在47地域(勝山は5月31日に退会)。これには洞爺湖や阿蘇など世界ジオパークに認定されている10地域も含まれる。ジオパークの認定返上は、20年の「天草ジオパーク」(熊本県天草市など)に続き、2例目である。天草では「費用負担が大きい一方、交流人口の拡大につながらない」というのが返上の理由であった▼
勝山市で何があったのか。推測の域を出ないが、ジオパークを維持する労力や費用負担の重さがあったことは否めない。勝山市では、16年には周辺4県7市村との連携で、白山ユネスコエコパークの認定も受けており、多くのエリアがジオパークと重なるなどの課題を抱えていた。さらに19年には文化庁の日本遺産の認定(福井市と連携)、22年には文化財保存活用地域計画の認定も受けた▼
これら数多くの計画を担うのは自治体職員や関係住民である。推進体制や担い手の維持、財源調達などは地域にとって重い課題だ。各種計画の整理・見直し、スリム化もこれからの重要な課題であろう
(観光未来プランナー・日本観光振興協会総合研究所顧問・丁野朗)