日本政策金融公庫はこのほど、「経営者の引退と廃業に関するアンケート」の結果を公表した。経営者の引退に伴い廃業する際の後継者の検討状況は、「後継者を探すことなく事業をやめた」が93・4%と高い割合を占めている。調査方法は、インターネットによるモニター調査。複数回答で尋ねた廃業の理由を、年齢や健康上の理由など「経営者の事情」と、売り上げの低迷など「事業継続困難」に分類し、「経営者の事情」に一つでも回答している45歳以上の元経営者500人について分析した。
後継者を探すことなく廃業した理由は、「そもそも誰かに継いでもらいたいと思っていなかった」が57・2%と最も多く、次いで「事業に将来性がなかった」が23・1%となっている。誰かに継いでもらいたいと思っていなかった理由は、「高度な技術・技能が求められる事業だから」(27・3%)、「経営者個人の感性・個性が欠かせない事業だから」(25・8%)、「自分の趣味で始めた事業だから」(25・1%)が多い。事業譲渡の検討有無を見ると「検討しなかった」が91・2%となっている。
廃業を決めた時と廃業時の従業者数を見ると、「1人(経営者のみ)」の割合は廃業を決めた時が46・0%、廃業時が57・2%となっている。同様に「2~4人」の割合は廃業を決めた時が37・4%、廃業時が同31・6%で、4人以下の企業が大半を占めている。
廃業時の資産・負債の状況は、「資産は負債より多かった」が5割近くを占めている。廃業を決めた時の事業の将来性は、「事業を継続することはできるが縮小が予想された」(35・6%)と「事業をやめざるを得なかった」(35.2%)が同程度の割合で、合わせて7割が事業の将来性は乏しいと感じていた。
廃業時の年齢は、「60~69歳」が38・8%と最も多く、次いで「50~59歳」が34・4%、「45~49歳」が17・2%、「70歳以上」が9・6%となっている。平均は58・5歳だった。
詳細は、https://www.jfc.go.jp/n/news/を参照。
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