日本商工会議所はこのほど、2019年11月の商工会議所LOBO(早期景気観測)調査結果と共に、消費税率引き上げなどに伴う経営への影響とコスト増加分の価格転嫁の動向に関する調査結果を発表した。消費税率引き上げに伴う経営への影響について、「経営への影響がある」と回答した企業は72・1%となった。コスト増加分の価格転嫁の動向については、消費者向け(BtoC)と企業向け(BtoB)商品・サービスともに18年11月調査比では改善するも、価格転嫁できていない企業は依然として7割を超えている。
消費税率引き上げに伴う具体的な影響の内容は、「駆け込み需要はほとんどなく、消費が一層落ち込み、売り上げが減少している」が40・0%で最も多かった。次いで、「ポイント還元事業、プレミアム商品券などを活用も、今のところ需要押し上げ効果は感じられない」(33・8%)、「駆け込み需要により一時的な売り上げ増はあったが、反動減により売り上げが減少している」(31・9%)となった。一方、「経営努力により当面の利益は確保している」が19・0%あった。
また、軽減税率導入による経営上の課題は、販売、経理、納税の事務負担のうち、「経理事務負担の増加(請求書・領収書などに記載の税率確認、税率記入漏れなどの確認)」が57・9%で最も多かった。一方で、「特に課題はない」との回答が24・5%あった。
コスト増加分の価格転嫁の動向については、BtoCは「全く転嫁できていない」企業は15・8%、「一部転嫁できていない」企業は56・7%となり、価格転嫁できていない企業の合計は、18年11月調査比4・8㌽減の72・5%となった。
BtoBは「全く転嫁できていない」企業は13・0%、「一部転嫁できていない」企業は60・1%となり、価格転嫁できていない企業の合計は、同7・8㌽減の73・1%となった。
価格転嫁できない主な理由は、BtoCは「消費者の節約志向・低価格志向が続いている(強まっている)ため」が64・2%で最多。次いで、「競合他社が販売価格を上げていない(据え置き、値下げ)ため」(38・2%)、「需要が減少しているため」(37・6%)となった。
BtoBは「競合他社が販売価格を上げていない(据え置き、値下げ)ため」が45・6%で最多。次いで、「消費者の節約志向・低価格志向が続いている(強まっている)ため」が43・5%、「需要が減少しているため」が33・1%となった。
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