日本商工会議所の三村明夫会頭は、大企業と中小企業との共存共栄関係の構築につなげるため、経済産業省が立ち上げた「価値創造企業に関する賢人会議」の座長に就任した。2019年12月3日には第1回会合を開催した。同会議では、取引構造の見直しや個別取引の適正化により大企業と中小企業が「新たな価値を創造」し、経済全体の付加価値向上を目指す「共存共栄の在り方」などを議論する。20年2月に中間報告を取りまとめる。
取引構造見直し価値創造
会合で三村会頭は、「中小企業はサプライチェーンを支える重要な役割を担っているにもかかわらず、弱い発言力・立場に置かれてきた」と指摘した。中小企業の「実質労働生産性」の伸びは大企業と遜色ないレベルにあるが、「価格転嫁力」は大企業に比べて顕著に悪化した結果、労働生産性の格差は拡大。商工会議所にも、中小企業の声として、「円高下に原価低減の要求がなされ、引き続き、円安下でも要求されている」「大企業が利益をため込み、中小企業に利益が回らないので、設備投資もできず生産性が向上しない」といった声が寄せられている。
このため三村会頭は、「大企業と中小企業は生き残りをかけて〝ワンチーム〟で成果とコストを適正にシェアしつつ、共に『価値を創造』する必要がある」と強調。また、業界全体の中小企業が活用可能な安価で有用なAIツールを大企業が中小企業を巻き込みながら開発し、普及をしている事例もあることから、IT実装支援をはじめとした多様な分野における大企業と中小企業の共存共栄に期待を寄せた。一方、政府の役割については、「取引上の課題は当事者である企業間での解決が基本ではあるが、解決困難な場合は政府の役割が重要」とコメントした。
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