福岡県大牟田市。“炭鉱のまち”として栄えた歴史を持つこの地域も、近年は人口減少や若者の流出が大きな課題となっている。持続可能な地域づくりが喫緊の課題となる中、地域の未来を背負い、さまざまな活動に尽力しているのが大牟田商工会議所青年部(以下、大牟田YEG)だ。中でも、設立以来、出会いと定住促進を目的として取り組んできた婚活イベントは、代表的な事業の一つとなっている。大牟田YEGが描くまちの将来について取材した。
参加者が交流しやすいように雰囲気を重視し運営
大牟田市の人口は、1959年には20万8000人を数えたが、2025年には約10万2000人と半減している。何とかしなければと考える大牟田YEGは、14年の設立以来、多くのメンバーが携わってまちの活性化に取り組んできた。そして、設立間もない頃から続く大牟田YEGの事業の柱ともいえるのが婚活イベントだ。狙いは明確で、若者が大牟田に根を下ろすきっかけをつくること。男性は市内に在住または勤務していることを条件とし、女性は市外からも広く参加を募るスタイルを採用している。
婚活イベントを成功させるには、参加者が自然体で交流できる雰囲気づくりが不可欠。大牟田YEGはその点に徹底してこだわっている。昨年度開催したイベント「コン活冬物語」ではメンバーの店舗を会場に活用し、アットホームな空間を演出。司会者がジェスチャーゲームを取り入れ、初対面同士の緊張を解きほぐした。食事やお酒を交え、会話が自然に広がる工夫も随所に施されている。また、会場選びも多彩だ。クルージングやBBQが楽しめるレストラン、夕日の見えるスポットなど、非日常を感じられるロケーションを積極的に採用。過去にはお笑い芸人「レモンティー」を招き、笑いを交えた回もあった。
一方で、大牟田市の諏訪公園で公開告白を実施した際には通行人の視線に参加者が萎縮する結果となり、これを教訓に、現在は人目につかない環境を優先する方針へと転換している。また、大牟田YEGに託児所を営むメンバーがおり、臨時の託児所を設置して子どもを持つ参加者を支援したこともある。
工夫を重ね にぎわい創出にも寄与
こうした工夫の積み重ねは確実な成果に結びついている。昨年度は30人の参加で11組のカップルが成立した。婚活実行委員長で大牟田YEG専務理事の内田充生さんは「『このイベントのおかげで結婚できました』という参加者の感謝の手紙が商工会議所に届いたことがあります。これらの報告は運営メンバーにとって大きな励みになりました」と言う。さらに、結婚したカップルを対象に、お祝い金を贈る制度も実施している。2人のインタビューを広報記事に組み合わせ、地域に好循環を生み出す仕組みづくりが進められてきた。
2025年度大牟田YEGの佐藤大和会長は「今年はイベントの会場を道の駅に移す計画で、市外からの集客や地域産品PRとの相乗効果も見込んでいます。道の駅自体のにぎわい創出にも寄与して、地域活性にも力を入れていくつもりです」と意気込んでいる。
