政府は11月25日、政労使の意見交換を首相官邸で開催した。会合に出席した日本商工会議所の小林健会頭は、「中小企業の『稼ぐ力』の強化が最も重要な政策課題」との認識を示すとともに、賃上げによる経済の好循環を日本経済の新たな常識として定着させる重要性を強調した。会議には、小林会頭のほか、使用者側から日本経済団体連合会の筒井義信会長、全国商工会連合会の森義久会長、全国中小企業団体中央会の森洋会長、労働者側からは連合の芳野友子会長、政府からは高市早苗首相ら主要閣僚が出席し、2026年春季労使交渉に向け、意見交換を行った。
小林会頭は、日商調査において2025年度に賃上げを「実施」「実施予定」と回答した中小企業の合計が8割を超え、賃上げ率は4・73%だったことに触れ、「大手の春闘と比べると若干低いが、相当頑張っている」と評価。春闘の結果などを見ながら随時賃上げに取り組む中小企業の実情を踏ま えながら、政策を検討していく重要性を指摘した。一方で、賃上げを実施する中小企業の6割が、深刻な人手不足などを背景とした「防衛的賃上げ」であることから、「生産性向上と価格転嫁を両輪で進めることが不可欠」との認識を示した。
価格転換については、同調査において「コスト増分の4割以上を転嫁できている」との回答が52・5%、労務費では38・7%にとどまったことに触 れ、「全体として勢いは鈍化している」と指摘。「パートナーシップ構築宣言の広がりや下請法改正など制度整備は進んでいるものの、最終的には当事者意識が鍵」と述べ、政府に対し適正価格での取引に対する意識の浸透に向けた粘り強い取り組みを求めた。
中小企業の賃上げ環境整備に向けては、「中小企業は輸入依存度が高く、円安の影響を受けやすい」との認識の下、過度な円安が賃上げ原資の確保に与える悪影響に強い懸念を表明。政府には、価格転嫁の推進や「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5カ年計画」の着実な実行などを求めた。
高市首相は、「賃上げを事業者に丸投げせず、継続的に賃上げできる環境を整備する」との考えを表明。11月21日に閣議決定した総合経済対策で、賃上げに取り組む中小企業などの成長投資支援を抜本的に強化する方針を打ち出したことを説明するとともに、物価上昇に負けないベースアップの実現に向け、一昨年・昨年並みの水準での賃上げを経済界に要請した。また、中長期的な企業価値向上に向け、人への投資や研究開発投資などを促す「コーポレートガバナンス・コード」の改訂にも着手する意向を示した。
