中小企業庁は5月22日、「小規模事業者の『稼ぐ力』の強化に向けた諸課題に関する検討会」の中間取りまとめを公表した。同取りまとめには、小規模事業者の現状や課題を踏まえ、「稼ぐ力」の強化に向けた具体的な施策の方向性が示されている。
2025年3月に閣議決定された「小規模企業振興基本計画(第3期)」では、全国285万社の小規模事業者における賃上げの好循環の実現に向け、経営力を向上させてこれまで以上に「稼ぐ力」を高めることや、その支援体制の強化などが盛り込まれている。同検討会は、この基本計画を軸にした「小規模事業者の『稼ぐ力』の強化」をテーマに設定。計画に掲げられた各施策の深掘りにつなげることを目的に26年2月から議論を重ねてきた。
今回公表された中間取りまとめでは、①成長志向の小規模事業者を創出するメカニズムの構築②持続的発展および賃上げを目指す小規模事業者への経営管理能力の高度化に向けた支援強化(エッセンシャルサービス提供者を含む)③小規模事業者を支える商工会議所・商工会による支援機能強化④上記①~③の施策方針の制度的位置付けの明確化・支援効果などの把握――の四つを具体的施策の方向性として挙げた。
①では、経営管理能力の高度化と経営改革を図るために、商工会議所などの経営指導員による伴走支援を必須とし、「成長志向の経営計画(仮称)」を「宣言」する仕組みを構築する。また、「宣言」事業者の挑戦的な取り組みに対する補助金などの優先措置や、将来的なプロパー融資の増加を見据えた地域金融機関との連携促進を検討することを示した。地域で知られている経営者が「宣言」し成長することで、自身への自信保持につながり、顔が見える範囲であるからこ所の波及効果が期待される。
②では、基礎的な経営リテラシーの向上や経営管理能力の高度化が重要であることを踏まえ、プッシュ型による小規模事業者への働きかけの強化や、学び合い・助け合いの機会として商工会議所青年部・女性会などの活用促進に取り組む。さらに、支援機関としての認定を受ける商工会議所などに対し、小規模事業者支援法の枠組みの下で都道府県、市町村も巻き込んだ支援体制の構築を図ることを明記した。
③では、経営指導員などの業務負荷増や支援リソース不足といった課題解決のため、中小企業大学校や商工会議所などの研修による横のつながりの創出や体系的学習によるリテラシー向上の強みを生かした実践的な知見習得に向け、民間サービスの連携・補完を検討する。
さらに、支援リソースを最適化しつつ、支援機能の強化を行うことが重要との考えから、リテラシー向上の方策に加え、広域支援体制(広域経営指導員)の普及、業務効率化に向けた生成AIの活用およびノウハウ・知見の共有の仕組みの検証などを推進し、経営指導員の意欲向上のために後押しなどに取り組むことを掲げた。
④では、上記①~③で示した方針に基づく支援を実施するために、小規模事業者支援法の基本方針を改訂し、今回の支援方針を明確化することで商工会議所などにおける経営発達支援事業の実行において反映する。同時に、支援件数などに基づいた評価やスコアリングの仕組みの検討を進める。また、小規模事業者の現状に関わるデータや施策効果の調査・分析方法、施策を評価するために関係データの蓄積を進め、今後の支援の指標設定に向けた研究を深めることが盛り込まれた。