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「下町育ちの再建王」の経営指南 夢と目的があれば道は開ける

50年間ビジネスの世界に身を置いてきて、多くの会社の栄枯盛衰を見てきました。絶頂期に火事でビルを丸ごと焼失、人間関係による空中分解、バブル崩壊やリーマンショックのような不可抗力の大不況など、予想外の出来事で事業が立ち行かなくなるケースも多々ありました。

団塊の世代で競争相手が多かった私の人生観は、戦って戦って勝ち続けることでしたが、ビジネスの世界に身を置くことで、それは徐々に変化してきました。恩師である舩井幸雄氏が好んだ『和略』という考え方の影響もあったと思いますが、勝つことが全てという時代は終わったような気がします。『和略』とは、研究者の大和信春氏が提唱する理念で、常に与辛量(つらいと感じる量)を上回る与欣量(幸せと感じる量)を相手に与え続ける人間関係をつくることです。

また、急ぐことが勝ちにつながるとは限らないとも思うようになりました。人が仕事をする上で最も重要なのは、どういう心掛けで、どういう行為をするかであって、結果は二の次です。もちろん、ビジネスですから結果を求めるのは当然ですし、それを考えるのは大切なことですが、マクロに物事を行おうとしたときには、結果を急ぐ行為が実を結ぶとは限らない時代が来ています。本当に良い結果を求めるのなら、競争ではなく、正しいと思うことをひたすら続ける姿勢が必要だと思います。

私はこれまで、コンサルタントとしてクライアントを全力で応援してきましたが、芯になるのは正しいことを貫こうとするオーナーの信念でした。あなたの夢は何ですか? あなたの目的は何ですか? それがしっかりしていれば、必ず道は開けます。何もしなければ何も起こりません。あなたに夢と目的があるなら、仕事でも人生でも自分が正しいと思う行動を起こしてください。それが良い結果につながれば何よりですが、思うような結果が出なかったとしても、その行動をとったことにプライドと自信を持ってください。

私は東京五輪、米国大統領選終了後から、不景気が3年以上続くと予想しています。不動産がダブつき、今年の暮れころから在庫過剰で値崩れが始まるとされ、今の資材や人件費の高さから、容易に値下げできず倒産する会社も出てくるでしょう。バブル崩壊前には永久に下がらないといわれていた日本の地価が下がったことを思い返せば、何が起きても不思議はありません。

世の中が大きく変わる時期が目の前に迫っています。われわれは自分が正しいと思う方向に向かってスタンスをしっかり保ち、ビジネスのかじを取りましょう。今後迎えようとしている時代の変革期は、誰も経験したことがないビッグチャンスでもあるのですから。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風土代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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社名:株式会社 風土

TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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