関係者による不正 組織の脅威で7位
近年、サイバー攻撃による情報漏えいや事業停止が大きく報道されているが、内部からの情報漏えいや内部不正の報道も依然として続いている。内部不正による情報漏えいには、従業員や元従業員など、組織の内部関係者による意図的な秘密情報の持ち出しや社内情報の削除などの不正行為のほか、組織の情報管理規則に背いた情報の持ち出しや不注意で情報を紛失するなどの情報漏えいになるケースも含まれる。組織の内部関係者による不正行為は、社会的信用の失墜、損害賠償による経済的損失を招く。また、不正に取得された情報を使用した組織や個人も責任を問われる場合がある。
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が公開する「情報セキュリティ10大脅威2026」(以下、10大脅威2026)においても、内部不正は2016年の初選出から11年連続で選出されており、組織の脅威で7位となっている。ここでは、10大脅威2026の解説書で取り上げられた被害事例を紹介する。
(事例1) 元ロシア通商代表部員への営業秘密情報漏えい
工作機械メーカーの元社員は身分を隠した在日ロシア通商代表部の元職員に、道を尋ねられたことを機に飲食などの接待を受けていた。24年11月と25年2月に営業秘密を口頭で伝え、対価に総額70万円を受領していたとされ、元社員は不正競争防止法に違反したとして書類送検された。なお、元職員はすでに帰国している。
(事例2) 委託先企業の協力会社の元社員による個人情報持ち出しの疑い
25年6月、大手通信キャリアの委託先であるコールセンター企業から約14万件の顧客情報流出の可能性があると発表された。コールセンター企業の協力会社の元社員が、コールセンター企業の事業所に不正に立ち入り、USBメモリーを情報管理端末に接続している監視カメラの映像が確認されており、顧客情報を持ち出した可能性がある。
組織的対策が必要 ガイドライン参考に
内部不正を防止するためには、従業員や元従業員、システム管理者、委託先などさまざまな内部不正発生のケースを想定して、組織的にも技術的にも網羅的な対策が必要となる。10大脅威2026の解説書では主な対策を解説しているが、詳しくはIPAが公開する「組織における内部不正防止ガイドライン」を確認していただきたい。
また、経済産業省では、官民の実務者間において、営業秘密の漏えいに関する最新手口やその対策に係る情報交換を行う場として「営業秘密官民フォーラム」を開催している。官民フォーラムの目的である継続的な官民連携、高度化する漏えい手口情報の共有・対応策の共有をより強化していくため、営業秘密に関する記事および各種セミナーなどのイベント案内をメールマガジンで定期的に配信している。営業秘密官民フォーラム参加団体以外の方でもIPAのウェブサイトでバックナンバーが確認できるので、対策検討のための情報収集に活用していただきたい。
(独立行政法人情報処理推進機構・江島将和)
「営業秘密官民フォーラムメールマガジン」バックナンバーについてはこちらを参照
