相談は増加傾向 サポート詐欺最多
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、企業組織向けにセキュリティインシデントに関する相談や情報セキュリティに関する一般的な相談が可能な「サイバーセキュリティ相談窓口」を開設している。
2026年第2四半期(4~6月)の相談対応件数は302件、前四半期から約6・7%増となっている。その内訳は、サポート詐欺が68件と最も多く、続いてインシデント対応が65件、平時の対応21件の順となっている。
今四半期のうちサイバーセキュリティ相談窓口に寄せられた相談事例を紹介する。
【相談事例】
国税庁をかたる自動音声の電話を着信し、電話に対応したところメールが送られてきて、メールのリンクから遠隔操作ソフトをダウンロードし遠隔操作されてしまった。
(相談内容)
・社員が電話を取ると、自動音声で国税庁を名乗り、e―Taxのソフトのバージョンアップが必要という内容で、説明を受けるにはプッシュボタンの「1」を押すように案内され、「1」を押した。
・自動音声からe―Taxのヘルプデスクを名乗る男に切り替わり、バージョンアップはデータをメール受信してから電話でガイドするとのことで、メールアドレスを聞かれて答えた。
・すぐにメールを受信し、電話の指示に従いメールのURLをクリックすると、e―Taxそっくりのページが表示され自動でダウンロードが始まった。
・電話の指示に従い、ダウンロードしたファイルをインストールした。
・当該端末は画面に「e―Taxバージョンアップの準備中」の表示となり、電話で「インストールに10分ほど要する」と説明があった。
・他の職員が怪しいことに気付き、電話を保留にして端末の電源を落とし、保留中の電話を切った。
(回答)
・どのようなソフトがダウンロードされて、プログラムが実行されたのか判断できないので、安全のためパソコンの初期化を推奨。
・遠隔操作中に何が行われたか判断できないため、最低限次のことの実施を推奨。
1.当該パソコンで使用しているパスワードなどの変更、インターネットサービスのパスワードの変更。
2.当該パソコンで利用していたサービスの不正使用確認。特に、クレジットカードやネットバンキングがあればすぐにクレジットカード会社や銀行へ対応を相談すること。
3.個人情報が保存されていた場合、個人情報保護委員会への報告義務が発生する場合があるので、個人情報保護委員会へ相談するなどの対応。
・URLのクリックから電源を切るまでに端末上で行われたことを判断したい場合は、デジタルフォレンジック調査(パソコンなどに記録された電子情報の解析)で明らかになる場合があるので、セキュリティベンダーに問い合わせを検討。その場合、前述の「パソコンの初期化」についてはすぐに行わず当該端末は電源を切ったまま保全し、ベンダーの指示に従う。
・当該メールの削除。
事故情報に関心を チェック体制整備も
(今後の対策)
・企業組織内全体に今回の事例を周知し、併せて不審電話や不審メールへの対処を含めた情報セキュリティ啓発教育を行う。
・最新のセキュリティ事故などの情報に関心を持ち、最新の手口を知る。
・1人の従業員の判断が被害を招くことのないよう、チェック体制に関する社内規程や業務フローを整備する。
他社の相談事例を自社のセキュリティ対策強化の参考にしていただきたい。また、平時の対策や有事の対処・対応が必要な際は「サイバーセキュリティ相談窓口」を活用していただきたい。
(独立行政法人情報処理推進機構・江島将和)
「サイバーセキュリティ相談窓口」についてはこちらを参照。
