日本商工会議所は7月16日、要望書「2027年度中小企業・地域活性化施策に関する要望」を取りまとめた。要望書では、「生産性向上」と「付加価値の創出・拡大」による中小企業の「稼ぐ力」の強化や、適切な価格転嫁・取引適正化の推進など、持続可能な経済社会の構築に向けたビジネス環境の整備を求めている。日商の立野純三中小企業委員長(大阪・副会頭)は同日、中小企業庁の山下隆一長官(当時)を訪問し、要望書を手交した。山下長官は「中小企業庁と方向性は一致している。引き続き協力していきたい」と述べた。
日本経済は長期の停滞期を脱し、潜在成長率の底上げによる「成長型経済」への転換に向けた重要な局面を迎えている。要望書では「全国の企業数の99.7%、雇用の約7割(地方では約9割)を担う中小企業こそが、その原動力」と指摘している。
しかし、足元の中小企業が置かれた事業環境はきわめて深刻だ。構造的な人手不足に苦しむ一方で、賃上げに伴う労務費の増加が経営を圧迫している。さらに円安や原材料価格の高騰を背景としたコストプッシュ型インフレ、金利上昇、消費低迷などが重なり、企業間における業況の二極化が一段と顕在化している。中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー価格の高騰は事業活動や設備投資に暗い影を落としており、資材の高騰や物流の目詰まりに対する懸念も依然として払拭されていない。
要望書では、こうした困難を乗り越え、中小企業が持続的な賃上げや成長投資の原資を確保するため、「生産性向上」と「付加価値の創出・拡大」による「稼ぐ力」の強化に向けた支援を訴えている。また、価格転嫁や取引適正化の推進、円滑な事業承継など、持続可能な経済社会の構築に向けたビジネス環境の整備を強調している。加えて、地域の「稼ぐ力」を高めて新たな投資や雇用などを創出し、地域経済を支える中小企業・小規模事業者の事業継続を支援することで「地域経済の好循環」を実現する必要性を強く主張している。
さらに、政府の「日本成長戦略」の実効性を高め、「投資と賃上げの好循環」を加速させるため、1兆円規模の中小企業予算の確保を要望している。併せて、事業承継税制の特例措置の恒久化や、実態を踏まえた柔軟な働き方を可能にする制度拡充など、民間の挑戦を後押しする施策の迅速な実行と強力な支援を求めた。
