日本商工会議所は1月9日、「働き方改革関連法への準備状況などに関する調査」の結果を公表した。働き方改革関連法に盛り込まれた内容について「知らない」と回答した企業の割合は、「時間外労働の上限規制」が39・3%、「年次有給休暇の取得義務化」が24・3%、「同一労働同一賃金」が47・8%となった。法律の認知度は、従業員規模が小さくなるにつれて低下することから、日商では、「中小企業における認知度に課題がある」と指摘。今年4月に施行が迫った「年次有給休暇の取得義務化」をはじめ、法律のさらなる周知を求めている。(関連記事2面に)
同調査は、「働き方改革関連法」に関する中小企業の認知度や準備状況のほか、政府が検討している高齢者雇用の促進策に関する中小企業の現状や課題を把握することで、今後の政策提言・要望活動に生かすために実施した。調査期間は、2018年10~12月。全国の中小企業2045社から回答を得た。
働き方改革関連法への準備状況については、「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の取得義務化」「同一労働同一賃金」ともに、「対応済・対応のめどが付いている」企業の割合は半数に満たない結果となった。日商では、各企業における準備の促進に向け、窓口相談や専門家派遣など、働き方改革推進支援センターや各都道府県労働局が実施している支援策をより一層積極的かつきめ細かく実施していくことを要望している。
働き方改革関連法への対応に当たっての課題としては、「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の取得義務化」については、「人手不足」や「業務の繁閑」に関する項目が上位を占め、「取引先からの短納期要請や急な仕様変更などへの対応」も多く挙げられた。一方、「同一労働同一賃金」の導入に向けた課題としては、「増加した人件費を価格転嫁できない」が35・9%で最も多く、次いで「同一労働同一賃金の内容が分かりづらい」が33・3%となった。日商では、こうした状況を踏まえ、人手不足対策(女性・高齢者など多様な人材の活躍推進、外国人材の受け入れ、生産性向上支援など)、下請取引適正化対策の強化や、「同一労働同一賃金」に関する丁寧な周知を要請している。
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