パラリンピックのチカラ File 4 狙いすました渾身のタックルで、チームに勢いを

島川 慎一(しまかわ・しんいち)

1975年1月29日熊本県生まれ。バークレイズ証券株式会社所属。クラス3.0

東京で昨年10月中旬に行われた「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」で銅メダル獲得に貢献した島川慎一選手 撮影:吉村もと

島川慎一、44歳。その激しさから、「マーダーボール(殺人球技)」の異名をとる車いすラグビーに魅了されて20年。しかも、2004年のアテネ大会から4大会連続でパラリンピック出場を果たし、今なおポイントゲッターとして第一線で活躍中だ。

徹底したトレーニングで鍛え上げた二の腕や胸板のたくましさ、鋭い眼光が印象的だが、圧倒的なスピードから繰り出される「脅威のタックル」が島川の真骨頂だ。大音響とともに、相手が転倒することもある。重要なのは倒すことではなく、相手のチャンスの芽を摘むことだ。それは、経験に裏打ちされた高い判断力があってこそ。すぐに反応できる瞬発力と敵を追い越していくダッシュ力も欠かせない。

障害の程度に応じた持ち点は3・0で、「ハイポインター」と呼ばれる攻撃的選手だが、チーム戦略から最近は試合途中で起用されることも多い。チームが劣勢のときなど難しい状況でコートに入るため決して楽ではないが、ベテランならではの対応力を発揮。「コート内をかき回し、相手をつぶし、ゲームの流れを変える選手でありたい」。自身の役割は心得ている。

21歳のとき、交通事故で頸髄を損傷して車いす生活となり人生が暗転したが、再び生きる勇気と希望をくれたのが車いすラグビーだった。ガンガンぶつかり、相手を倒すところに心がつかまれた。「こんなに激しくやっていいんだ」

24歳で本格的に始めると、持ち前の運動能力とセンスで、わずか2年後の2001年には日本代表に初選出された。04年アテネパラリンピックにも初出場したが、最下位(8位)に終わった。世界の壁の高さを知った島川は、05年には自らクラブチーム「BLITZ(ブリッツ)」を立ち上げ、国内リーグの底上げを目指す一方で単身渡米し、世界最高峰の米国リーグで自身の進化にも取り組んだ。常に高い意識とフィジカルを維持し続け、パラリンピック4大会目のリオでようやく銅メダルを手にし、18年の世界選手権でも初制覇に貢献した。

次なる目標はもちろん、「東京パラリンピックでの金メダル」だ。ただそれだけを見据え、島川は今日も車いすをこぐ手に力を込める。

車いす同士の激しいタックル、緻密な戦略と役割分担、展開の速さ。魅力満載!

車いす競技唯一のフルコンタクト球技。1チームは4人で、障害の程度に応じた持ち点(0.5点~3.5点)の合計8点を超えてはならない。パスやドリブルでボールを運び、トライラインを越えると得点になる。

競技紹介 https://tokyo2020.org/jp/games/sport/paralympic/wheelchair-rugby/

観に行こう!2020ジャパンパラ車いすラグビー競技大会

日程:2020年3月12日(木)~15日(日)

会場:代々木第一体育館(東京都渋谷区) *入場無料

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/

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