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パラリンピックのチカラ File 6 自身の可能性を信じて道を開く、義足アスリート

中西 麻耶 (なかにし・まや)

1985年6月3日大阪府生まれ、大分県出身。阪急交通社所属

2019年世界パラ陸上選手権走り幅跳びで金メダルを決めた中西麻耶選手の最終跳躍 撮影:吉村もと

「ずっと欲しくて、十何年もがいてやってきました」――昨秋、アラブ首長国連邦・ドバイでのパラ陸上世界選手権大会に出場した中西麻耶は、女子T64(片膝下義足)クラスの走り幅跳びで初優勝。義足で陸上を始めてから約12年。ようやく世界大会での金メダルをつかんだのだ。

強い向かい風に苦しむ選手が多い中、中西は安定した跳躍を重ね、「私は最後に決められる選手だ」と自分を信じ続けた。最終試技で5m37を跳び、4位から首位へ。「一番スカッとする勝ち方ができました!」   ここまで長い道のりだった。幼い頃からスポーツ少女で、中学でソフトテニスに夢中になり、強豪高でインターハイにも出場した。人生が暗転したのは21歳の時。大分国体出場を目指していたが、職場で事故に遭う。崩れてきた5トンの鉄骨に、右脚が下敷きになったのだ。

だが、どんな時も「あきらめず、前を向く」のが真骨頂だ。一刻も早くテニスがしたいと右脚の切断を即決し、1年後には義足を着けてコートに復帰。リハビリ中に出会ったパラ陸上に可能性を見いだし転向すると、すぐに北京パラリンピックの代表に選ばれ、日本女子の義足スプリンターとして初の入賞も果たした。

より良い練習環境を求めて渡米し、一流コーチの指導を受けると、走り幅跳びの才能も開花。スピード感ある助走とダイナミックな跳躍で記録を伸ばした。活動資金や世間の壁などに苦しんだが、練習拠点を大分県に戻すと、12年ロンドン、16年リオとパラリンピックに連続出場。17年の世界選手権で銅メダル、18年にはアジア女王にも輝いた。

だが、16年に5m51を跳び、アジア記録を塗り替えるも、その後は足踏み。カーボン素材の「板バネ」は一般に硬いほど反発力も増すが、踏み切りで義足にしっかり体重を乗せ、十分にたわませることが必要だ。中西は158㎝の身長や筋力を考慮し、ドバイ世界陸上の前に思い切って軟らかい板バネに変える冒険に出た。

結果は念願の金メダル。自身4度目のパラリンピック出場も内定させた。だが、「東京では6mを跳ばないと難しい。今日の喜びはこれでリセット。6m目指して頑張ります」。輝く笑顔に、強い覚悟がにじんでいた。

走る・跳ぶ・投げる――己の肉体の限界に挑み、記録更新を追い求める

公平性のため、障がいの程度や運動機能などに応じたクラスに分かれて競う。一般の陸上競技規則に準じるが、競技用車いすや義足などの使用や競技パートナーの補助など、クラスごとに必要な工夫や特別なルールもある。

競技紹介 https://tokyo2020.org/ja/paralympics/sports/athletics/

観に行こう!2020ジャパンパラ陸上競技大会

日程:2020年5月2日(土)〜3日(日)

会場:オリンピックスタジアム(国立競技場) *入場無料

星野 恭子(ほしの・きょうこ) スポーツライター http://hoshinokyoko.com/

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