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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 「日々自分超え」で 自分自身と戦う小平選手

札幌冬季アジア大会での小平選手(帯広市の明治北海道十勝オーバル)

2月に迫った平昌五輪。活躍が期待される選手に「金メダル候補」などと軽々しく書いてプレッシャーをかけるつもりはないが、この人はそんな重圧もお構いなしで好記録を連発している。本人も「常に前向きなのでプレッシャーはない」と言い続けている。

女子スピードスケート・小平奈緒選手(相澤病院)に敵はいない。いるとすれば自分自身か?

去年2月、北海道で行われた札幌冬季アジア大会では、500メートルと1000メートルの二冠を達成。直後に行われた世界スプリント選手権(カナダ)では500メートルと1000メートルで日本記録を樹立。日本女子初の総合優勝に輝いた。

今季も開幕から絶好調。W杯第4戦(12月ソルトレークシティー)を終えた時点で500メートルは昨季からの連勝記録を23に伸ばし、W杯通算勝利数も岡崎朋美を超えて日本女子歴代最多の16勝となった。

長野県茅野市の中学時代からその才能は高く評価されていたが、伊那西高校から信州大学教育学部に進学したことで彼女の意識はより高まった。大学の卒業論文は「カーブワークの動作解析」。カーブの滑りには、絶対的な自信を持っている。

しっかりとした理論的根拠に基づきトレーニングを続けてきたことが、31歳になった今でも進化を続ける理由だろう。

2010年バンクーバー五輪では、女子団体パシュートで日本女子スピードスケート界初となる銀メダルを獲得したが、500メートル(12位)と1000メートル(5位)ではメダルに届かなかった。続くソチ五輪でも同5位と同13位に終わった。平昌五輪では、個人種目でのメダル獲得が最大の目標だ。

今や世界中のライバルから追われる立場になった小平選手だが、過信も油断もまったくない。彼女の座右の銘は、「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ」。インド独立の父マハトマ・ガンジー(ガンディー)の言葉だ。今季は「日々自分超え」を掲げて戦っている。

過信やプレッシャーは、過去の記録や好成績を意識することから生まれてくる。小平選手は常に前しか見ていない。五輪すら通過点と捉え自分のスケーティングの完成を目指している。彼女の推進力は「貪欲」という無尽蔵のエネルギーだ。

写真提供:産経新聞

あおしま・けんた スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている

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