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スポーツライター 青島健太の注目アスリート 攻守における攻撃性と気配り 稲葉ジャパンが初陣を飾る

オコエ瑠偉選手を指導する稲葉篤紀監督 写真提供:産経新聞

2020年東京五輪で金メダルを目指す野球日本代表「稲葉ジャパン」が動き出した。初陣となったのは「ENEOSアジアプロ野球チャンピオンシップ2017」だ。24歳以下(あるいは入団3年目まで)の選手で争った今大会は3戦全勝で優勝を果たした。初戦の韓国戦から劇的なサヨナラ勝ち。五輪への機運を高める意味でも最高のスタートを切ったと言えるだろう。

サッカー日本代表の監督としてW杯を2度戦った岡田武史さん(FC今治代表取締役)がこんなことを言っていたことがある。「W杯で自国の監督をやるものではない」

結果が良ければ国内において最大級の賛辞を浴びるが、もし芳しくない成績に終わった時には「針のむしろ」。せめてやるなら外国のチームの方がまだ気が楽だ……という意味である。自国を率いて戦うことは、それだけ大きな重圧に襲われるということだ。

五輪を戦う稲葉篤紀監督にもこれから相当なプレッシャーがかかることだろう。しかし、それも覚悟の上での監督就任だ。金メダルを目指す稲葉ジャパン。その野球の方向性が見えるのは今大会の3人のオーバーエイジ枠の選手たちと言えるかもしれない。山川穂高(西武)は当たればホームランのフルスイングが魅力のスラッガーだ。又吉克樹(中日)はサイドハンドから打者の胸元をえぐる強気の投手。そして、甲斐拓也(ソフトバンク)は小柄(169㎝)ながら盗塁を阻止する強肩が売りの捕手だ。各選手が独自の武器を持って攻守を攻撃的に戦う。それが稲葉監督の目指す野球と見た。

選手時代から稲葉監督は気配りの人だった。日本ハムで4番を打つ中田翔がスランプに苦しむ時、「4番代わろうか」と声を掛けたのだ。もちろんねぎらいの言葉ではない。中田の反骨心に火をつけようとしたのだ。その時に中田は日本代表で4番を務めた先輩に「稲葉さんじゃ無理ですよ」と返してきたのだ。そして笑い合った2人。これはスランプを脱したきっかけとして中田選手が教えてくれた、稲葉監督のエピソードだ。

稲葉監督自身も初球からどんどん打って出る選手だった。その積極性が国際試合で求められるスタイルだ。攻守における攻撃性と選手への気配り。それが稲葉ジャパンの持ち味だ。大きな期待と重圧を背負って侍ジャパンが船出した。

青島 健太 スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている。

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