株式会社ブランド総合研究所(本社東京都港区)はこのほど、今年で14回目(年1回実施)となる「地域ブランド調査2019」の結果を発表した。本調査によると、最も魅力的な都道府県は北海道で11年連続の1位となった。市区町村では函館市(北海道)が2年連続6度目の1位となり、両部門とも北海道が上位を占めた。本調査は、国内1000の市区町村および47都道府県を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目について、全国の消費者3万1369人から有効回答を得てまとめたもの。特集では、本調査の結果概要を紹介する。
全国で最も魅力的な都道府県は北海道で、2009年に都道府県を調査対象に加えて以来年連続で1位という結果となった。(図1)
市区町村は函館市(北海道)が53・7点で2年連続6度目の1位となり、2位は前年3位の札幌市(北海道)、3位は前年2位の京都市という底堅い結果となった。(図2)
近年の傾向として、市区町村の魅力度が全体的に上昇しており、地方創生への取り組みが本格化し始めた15年の魅力度平均点は6・6点であったが、以降平均点は上昇し、19年は9・0点と、調査対象に区町村を加えた07年以降、最も平均点が高くなっている。特に下位の市区町村上昇率が高く、調査対象全体の魅力度の上昇が明らかになった。 また、今回は、令和ゆかりの地として太宰府市(福岡県)において、各項目で点数が上昇、15年以降、魅力度が低下していた箱根町(神奈川県)の魅力度が再び上昇するなどの特徴も見られる。
地方創生以降、全体的に魅力度上昇が顕著
1000市区町村の魅力度平均点が19年は9・0点と、調査対象に区町村を加えた07年以降過去最高点を記録した。 東日本大震災のあった11年(7・6点)から14年(6・5点)にかけて、平均点は下降傾向だったが、地方創生への取り組みが本格化し始めた15年以降、魅力度の平均点は徐々に上昇。特に18年以降は平均点の上昇が顕著となっている。(図3)
15年(6・6点)と19年(9・0点)を比較すると点数が36・4%伸びている。15年と19年の魅力度の結果を順位帯別の平均点で比較すると、1位から100位までの市区町村の平均点は15年の23・7点から19年には27・6点と3・9ポイントも増加。上昇率は16・5%増となっている。
他方、801位から1000位の平均点は15年の1・1点から19年には2・6点と1・5ポイント増えたが、上昇率でみると136・4%増と大きく上昇している。
同様に他の順位帯の平均点を比較すると、全ての順位帯で平均点が上昇しており、順位が低い層になるほど、上昇率が大きくなる傾向となっている。(図4)
令和ゆかりの地、太宰府市(福岡県)の各項目結果が上昇
1 9年5月に改元された新元号「令和」の典拠となる歌のゆかりの地とされている太宰府市の各項目の点数が上昇した。 認知度は、前年37・2点(128位)から45・3点(50位)に8・1ポイント、情報接触度は前年27・1点(147位)から37・9点(51位)に10・8ポイントと、それぞれ大幅に上昇。過去10年で最も点数が高くなっており、同市の周知性が高まっている。対して魅力度も前年19・0点(77位)から27・5点(41位)と上昇しており、12年の自己最高位42位を更新した。
また、同市は、居住意欲度が7・8点(95位)から9・5点(66位)、産品購入意欲度が30・4点(93位)から33・3点(61位)と各項目の点数および順位が上がっているが、特に、観光意欲度で30・0点(93位)から36・3点(40位)と大幅に点数、順位とも伸ばした。
箱根町(神奈川県)の魅力度が再び上昇
魅力度が前年から最も上がったのは箱根町で、27・0点(28位)から36・6点(13位)と9・6ポイント上昇した。そのほかの項目では、観光意欲度が38・9点(24位)から47・3点(5位)と8・4ポイント上昇し、順位も大きく上げた。
同町の過去10年の魅力度推移を見ると、14年までは30点台で推移していたが、火山性地震の活発化などに伴う噴火警戒レベルが引き上げられた15年に25・1点と大きく点数が低下した以降、20点台後半で推移していたが、19年に大きく上昇、14年以前の点数水準に回復した。ただし、年代別で結果を見ると14年以前と19年では、同町を魅力的と評価する属性には変化が見られる。14年以前は、若年層の魅力度は低く、高年齢層の魅力度が高い傾向にあったが、15年以降は、20代の魅力度が上昇、19年は若年層、高年齢層の2極で魅力度が高まる結果となった。
大阪府、魅力度6位で過去最高位
都道府県の結果では、大阪府が6位と自己最高位を更新した。居住意欲度でも4位とこちらも自己最高位となった。 その他の結果では、「2025大阪・関西万博」(18年11月に開催決定)や、今年6月に実施されたG20大阪サミットなどに関連性のある地域イメージ項目である「国際交流の地域」が2位に上昇する伸びを見せた。 また、今年7月に世界文化遺産への登録が決定した「百舌鳥・古市古墳群」に関連して、地域コンテンツの認知項目「世界遺産や日本遺産」が、前年の22位から15位に順位を上げた。
詳細はこちらを参照。 http://tiiki.jp/survery2019/
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