逃した魚は大きいが、これが東京五輪への躍進につながるのなら、悔しい準優勝も彼女たちにとって素晴らしい財産になることだろう。
テニスの全仏オープン。現地6月10日に行われた女子ダブルス決勝で日本の穂積絵莉、二宮真琴組が第6シードのクレイチコバ、シニアコバ(ともにチェコ)組にストレートで敗れ、惜しくも優勝を逃した。それでも日本人ペアの決勝進出は史上初であり、一躍2020年東京五輪のメダル候補に躍り出た。
今大会、「エリマコ」の愛称で旋風を巻き起こした穂積と二宮だが、これまでダブルスでの実績は着実に積み重ねてきた。穂積は11年の全豪ジュニアのダブルスで準優勝。12年にプロに転向し、16年カトウィツェオープンのダブルスで自身初のツアー優勝を果たした。17年の全豪オープンでもダブルスでベスト4になっている。二宮も11年に全日本ジュニア18歳以下ダブルスで優勝。同年全仏ジュニアのダブルスでもベスト4に輝いた。13年にプロ転向し、14年の全日本選手権ダブルスで優勝すると、16年ジャパンオープンのダブルスでツアー初優勝を達成した。17年のウィンブルドンでもダブルスでベスト4。二人ともこの種目のスペシャリストなのだ。
身長168センチの穂積は、パワーのあるストロークを得意とし、小柄な二宮(157センチ)は、ボレーやロブショットのような小技を持ち味にしている。そんな対照的な二人が、日本テニス協会ナショナルチーム2020年強化メンバーに選ばれたことで、お互いに自信を持ってペアを組むことになった。穂積はシングルスでの五輪出場を目指しながらも「真琴と組めば、メダルを狙える」とダブルスへの意欲を見せ、二宮も「東京五輪でメダルを取れるチャンスがあるならダブルスだと思った。シングルスを捨てても極めたい」とダブルスに賭けている。
息の合ったコンビネーション、お互いを生かし合うプレースタイル、相手の弱点を察知する観察眼、そして何よりダブルスに専念する覚悟が「エリマコ」の最大の武器だ。
準々決勝では第1シードのバボシュ(ハンガリー)、ムラデノビッチ(フランス)組も破っている。それでも二人は「優勝できないと満足できない」と語った。「1+1」を「2」以上にするのが日本の技と文化だ。楽しみなペアが誕生した。
写真提供:産経新聞
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