日商 Assist Biz

更新

スポーツライター 青島健太の注目アスリート 炎上隊長・長友のW杯への思い

2018W杯ロシア大会グループH第2節 日本対セネガル戦の後半で競り合う長友佑都(6月25日 ロシア・エカテリンブルク)

スポーツ選手の髪の毛の色について語るのは、本コラムの主旨からするとかなり逸脱したテーマかもしれないが、当方も思い切って普段と違う色を出してみよう。

1993年のJリーグ発足後、サッカーのトップ選手たちの多くは、金髪でプレーしていた。また日本代表に招集された選手は、代表戦の前に金髪や奇抜な髪形で現れて周囲の目を引いていた。サッカー選手にオシャレ好きが多いというのもあるのだろうが、彼らの目的はファッション以外にもあったはずだ。

それは文字通り目立つこと。金髪で試合に臨むことで、自身のプレーをより印象に残そうとしていたのだ。

なぜか? 海外のスカウトの目に留まって日本を飛び出していくためである。「カズ」こと三浦知良(横浜FC)を先頭に、城彰二や中田英寿、稲本潤一や戸田和幸などが金髪や派手な髪型で海外のクラブに次々と渡っていった。もちろん評価されたのはテクニックであって髪の色ではないが、その色や髪形に表れている彼らの自己顕示欲が活躍の原動力になっていたことは間違いないだろう。

しかし、時代が変わり多くの日本人選手が海外でプレーする今、髪の毛の色でアピールする必要もなくなったのだろう。日本代表の長谷部誠(フランクフルト)も香川真司(ドルトムント)も吉田麻也(サウサンプトン)も黒い髪のままでドイツやイギリスでプレーしている。

そんな中で久しぶりに金髪の選手を見た。先のW杯で大活躍した長友佑都(ガラタサライ)である。左のサイドバックとして何度も好機を演出し、プレーでも髪の毛の色でも抜群の存在感を見せていた。

しかし、長友の金髪は前述の意味とは違っていた。大会直前にSNSでつぶやいた「年齢で物事を判断する人はサッカーを知らない人」がちょっとした騒動になった後のことだった。自らを「炎上隊長」と命名し髪を金髪にして現れたのだ。

長友が金髪に込めた思いは何だったのだろうか。30代の彼にとって金髪は若さの証であり、戦闘モードをアピールする色に私には映った。また、不毛な、「年齢に対する議論」を「大会に向けた関心」に切り替えたいと思ったのだろう。そのサッカーへの高い意識が、彼のプレーには見事に表れていた。長友が見せた献身性。それこそが日本代表の金看板だ。

写真提供:産経新聞

あおしま・けんた スポーツライター&キャスター 1958年新潟市生まれ。埼玉県立春日部高校から慶応義塾大学、東芝を経てヤクルト・スワローズに入団。プロ野球初打席で初ホームランを記録。引退後は、オーストラリアで日本語教師を務め、帰国後、あらゆるメディアでスポーツの醍醐味を伝えている

次の記事

桃田賢斗

茶髪の目立つ髪型も派手なアクセサリーも、今の桃田賢斗選手には必要なかった。彼が手にしたものは、それ以上に輝き名誉なものだったからだ。バドミントン男子シングルス世界王…

前の記事

穂積絵莉・二宮真琴

逃した魚は大きいが、これが東京五輪への躍進につながるのなら、悔しい準優勝も彼女たちにとって素晴らしい財産になることだろう。テニスの全仏オープン。現地6月10日に行われ…

関連記事

上野由岐子

2020年東京五輪を心待ちにしているアスリートは数多くいるが、その中でもこの人ほど熱い思いで、その時を待っている選手はいないだろう。ソフトボール日本代表の上野由岐子投手…

渡辺一平

東京辰巳国際水泳場で4月に行われた競泳日本選手権。韓国で開催される世界選手権(7月)の代表選考を兼ねた大会だけに、有力選手の泳ぎに注目が集まった。バタフライと個人メド…

吉田正尚

強烈なアピールだった。2020年東京五輪で金メダルを狙う野球日本代表の4番候補にオリックス・バファローズの吉田正尚(まさたか)選手(外野手)が名乗りをあげた。3月9、10日と…