育児と仕事を両立できる「ママ職®」運営 子育て世代の女性に新しい働き方を提案
株式会社Capybara 代表取締役 野々村 恵(ののむら・けい)
育児をしながら在宅で働くインフラをつくる
子どもが生まれたとき、喜びを感じると同時に育児と仕事の両立に悩む女性は多いと思います。私自身、小さな娘を保育園に預けて仕事をしていたとき、毎朝別れ際に泣く娘の姿を見て、何のために仕事をするのかと自分を責めながら働いていました。2人目の妊娠を機に結局仕事を辞めましたが、周りのママたちと話すうち、皆同じような葛藤を抱えていることが分かり、「それなら私が、育児をしながら在宅で働けるインフラをつくろう!」と一念発起。2013年に当社カピバラを設立し、企業からアウトソーシングされた仕事を会員登録したママたちに提供し、在宅で仕事をしてもらう「ママ職®」の仕組みをつくりました。
カピバラという社名は、群れで子育てをする動物のカピバラから取ったものです。核家族化が進み、女性の育児における負担感が強まる中、「ママたちに生きがいを持ってほしい」「発注側の企業もママ職仲間もみんなで子育てをしよう」との意味を込めています。
ママ職会員は、今年2月時点で約3200人。多くの会員から「時間が自由に使え、ライフスタイルに合わせて仕事ができる点が良い」との声をいただいています。また、発注側の企業からもママたちの実直さ、きめ細かさが高い評価を得ています。創業は働き方改革やテレワークが叫ばれ始める前ですが、世の中の流れを変える一端を担えたのではないかと思います。
〝ママ職が当たり前〟の社会に
創業時、最も苦労したのはママ職の仕組みづくりでした。当時も在宅ワークを紹介するマッチングサイトはありましたが、ママも企業も安心して受注・発注ができるこれまでにないサービス展開を目指し、「ママ職事務局」が両者の間に入ってサポートする方式でスタート。そのため運営体制づくりや収益化の面で試行錯誤を重ねました。また、顧客開拓の面ではアウトソーシングや在宅ワークがイメージできない経営者も多く、メリットをその都度説明しなくてはなりませんでした。人手不足の企業にとって人材をフレキシブルに活用できること、低コストであること、ママ職はチームでフォローし合う体制をとっているため納期遅れの心配もないことなどを根気強くアピールしました。現在は、当社の良さを理解し、代わりにアピールしてくださる企業20社とパートナーシップ契約を結んでおり、それが紹介による新規開拓につながっています。
ママ職がスタートして約6年半。当時生まれた子どもたちは小学校へ入学し、ママたちの手が空く時間も増えてくる頃です。今後は、彼女たちが作業者として関わった企業への直接雇用の橋渡しも実現したい。また、人材不足の時代、新たな付加価値のある職業紹介や在宅ワークを推進する上で便利なソフトの開発にも取り組みます。ママ職の普及と社会の課題を解決するビジネスモデルの展開に力を注いでいきます。
会社データ
社名:株式会社Capybara(カピバラ)
所在地:東京都新宿区下宮比町2-28飯田橋ハイタウン815
電話:03-5579-8118
創業:2013年
事業概要:サービス業(事務・経理・秘書代行、ECサイト代行、講演会・セミナーの企画運営など)
HP:https://www.capybara.co.jp/
※月刊石垣2020年4月号に掲載された記事です。
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