会長所信
『ライバルは、1964年』多くのメディアで目にした言葉です。現役のYEGメンバーで当時の日本を体感された方はいません。恐らく当時の日本は、困難な時代を乗り越えた方々が、これからの洋々たる日本を思い描き、希望と活気に溢れていたのではないかと思いを寄せる次第です。延期になりましたが、東京オリンピック・パラリンピックを控えています。
前回、東京でオリンピックが開催された1964年と今の日本とでは社会システム・人口構成・風俗・世界的地位など全てが変わりました。日本は、世界でも類を見ない高度経済成長を成し遂げました。反面、今では世界に先行して高齢化・少子化社会が進行し、地方自治体と国の借金は増加し続けています。1964年の東京オリンピックが、その後の日本経済発展に大きく寄与したように、この機に今ある懸念の多くを明るい未来への希望の種とするべく、今を刻む責任世代であるわれわれYEGが、YEGとしての役割と願いをいま一度共有していきたいと考えます。そしてそれは、違いを認め合い、受け入れ、高め合い、尊重し合える、持続可能な社会形成の礎となること、本オリンピック・パラリンピック開催後の日本の礎となること、商工会議所活動の確かな一翼となることを期するものであります。
1.日本を愛する者として
今を担う責任世代としての役割を通して、次代の子どもたちの健やかな成長を願います
日本は世界で唯一その国名を二千年以上継続している国であります。その悠久の歴史の中には数えきれない偉人や、静かに日常を続けた先人たちが、地域を守り、日本を守り、今の私たちがあります。先人たちの連綿とした願いがあったと感じる次第です。その願いとは、次代を担う子どもたちの健やかな成長に他なりません。今を預かる責任世代の私たちは、先人たちのようにこの国を発展的に継続していかなければなりません。継続の中にこそ、私達の連帯と努力の証しが刻まれるものと信じます。しかしながら、肝心の今は、日本を愛する者としてのアイデンティティーが希薄になっていると感じることばかりであります。このままでは愛してやまないわが地域や日本は、未来永劫(えいごう)継続し得るのか疑問を禁じ得ません。日本を愛する心がさらに深く根差すために、今を担う私たちがいま一度、徳を積み重ねていき、人間力を磨いていかなくてはなりません。そうした私たちの背中で、今以上に地域に根差し、人間力に溢れた子どもたちが増えていくことを期待します。そして、その先には日本固有の文化、伝統を国際教養として深めていきたく存じます。
『今から』の洋々たる発展を期す、今を担う責任世代としての役割を通して、次代を担う子どもたちの健やかな成長を願います。
2.青年経済人として
提言活動という役割を通して、新価値創造ならびに不可避的な進化を願います。
私たち青年経済人は責任世代と呼ばれます。なぜか。それは、きっと今の地域や日本を30年後に語れる存在であるからです。ただ居ただけの存在としてではなく、経済行為に関わりながら、地域を思い、日本を思った存在として30年後に語れる存在であるからです。
私たちの今の一生懸命が、より良き『今から』を築きます。YEGの大きな役割の一つに提言活動があります。声を拾い、洗練させ、『今まで』以上を築いていく活動であります。この提言活動の意義と目的をいま一度洗練させ、役割を深化させていきます。そして、この役割を深化させることは、新価値の創造につながると信じます。そして、その創造が不可逆的な進化を成し遂げていくことを願います。不可逆的進化の蓄積は、未来を強くするものに他なりません。
3.経営に携わる者として
経済の底上げを担う役割を通して、社会全体の幸福拡大を願います
私たちYEGは、経営や商売に携わる者の集まりです。自企業の発展と永続化を通して地域経済社会へ貢献していくことは、YEGの大きな目的の一つです。では、自企業の発展と永続化の基礎とは何か。いろいろあるかと思いますが、私はあらゆる面での信頼関係の構築であると考えます。YEGが全国組織として発足したのは83年でありました。地域経済団体としてだけではなく、全国規模の団体とするべく先輩方は何を思われたのか。それは、やはりつながりを広げ、深めていくことであると考えます。YEGは、つながりを生かすことで信頼関係を構築し、自企業の発展ならびに地域経済発展を促し、それが全国規模に展開でき、昨今では海外とも連携が取れる団体です。本年度も活発なビジネス交流を図っていくことで、自企業の発展を図り、地域経済社会ならびに日本経済社会の底上げを担う役割を果たしていくものであります。そして、その役割の先には、自企業社員とその家族の幸福を結び、社会全体の幸福拡大を願います。
4.洋々たる未来を志す者として
YEGという組織を強化していく役割を通して、日本の永続的な発展を願います
自企業、地域、YEG、そして日本の永続的発展。その永続的発展のために必要なことは、いま一度、存在意義を深め、連帯を強固なものとし、存在価値を高めていくことに他なりません。端的に言えば、個人の意識高揚に基づく組織力強化であります。そのために必要なことは、ブランディングであると強く感じます。YEGのブランディングを多角的な視点から深めていくことで、全国の単会の皆さまが今まで以上にYEG活動を楽しんでいける環境づくりに努めていきます。ブランディングは、外に向けたものと内に向けたものがあります。その両者を強化、深化させ、YEGのさらなる地位向上を期するものです。
また、商工会議所の創設者である渋沢栄一翁は、新紙幣へ登用されるほどの偉人であります。渋沢翁が何を思い、何を後世に期待し、私たちは青年部として、それにどう応えるべきか。洋々たる未来を志す者として、過去の輝きは最良の師であります。
『今まで』を思い、『今から』を築いていく役割を通して、自企業、地元、そしてYEG、ひいては日本の永続的な発展を願います。
5.地域に根差す者として
全国の全単会へ有益になる活動を行う役割を通して、多くの地域でYEGが地域成長の礎となることを願います
日本YEGは全国の単会のために存在します。地域経済社会の将来にわたる成長発展に寄与していくことにこそ、YEGの本懐があります。地域の盛り上がりなくして日本全体の盛り上がりはなし得ません。本年度も今までの日本YEGと同様、全国全ての単会の皆さまにとって有益となるような事業構築を行ってまいります。そして、その役割を通して、日本YEGが全国の単会の皆さまのますますの成長発展の一助となること、そして全国の単会の皆さまが、わが地域を連綿と活気づける存在であることを願います。
全ては団結と連帯の名のもとに、今を刻む責任世代として 未来へ
〝Let it Roll〟
取材・写真撮影:日本商工会議所青年部(日本YEG)広報委員会
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