政府は3日、第37回未来投資会議を首相官邸で開催した。会議では、新型コロナウイルス感染症に関する対策の具体化をはじめ、いわゆる6G(ビヨンド5G)の推進、オープン・イノベーションの推進、学校現場におけるオーダーメイド型教育(ギガ・スクール)、雇用を守るために期待される人材像と育成について議論。会議に出席した日本商工会議所の三村明夫会頭は、新型コロナウイルス感染症対策に関する日商の緊急要望を説明するとともに、狙いを明確にした施策の実行を求めた。
新型コロナウイルス感染症に関する対策の具体化について三村会頭は、日商が3月30日に政府に提出した、感染状況に応じた時間軸に沿った3本の柱からなる緊急要望を説明した。第一の柱は、日増しに経営環境が悪化する中小・小規模事業者の倒産・廃業防止。第二の柱は、感染拡大防止と、経済社会への影響を最小限にとどめる、バランスの取れた対策。第三の柱は、一定の収束が見られた後、急激に落ち込んだ需要を喚起する、V字回復に向けた大胆な対策。いずれも狙いを明確にした施策の実行を求めた。
安倍晋三首相は「緊急経済対策で史上初めて、身近な地方銀行、信用金庫、信用組合といった民間金融機関で日本公庫と同一の実質無利子・無担保、最大5年間元本返済据え置きの融資を受けることができるようにする」と語るとともに、厳しい状況下にある中堅、中小・小規模事業者が事業を持続させることを目的に、史上初の給付金措置を創設すると言及した。
オープン・イノベーションの推進について三村会頭は、自身が座長を務める経済産業省の「価値創造企業に関する賢人会議」の中間報告においても、大企業と中小企業・スタートアップ企業などが、オープン・イノベーションにより価値創造を試みることが重要と確認されたことに触れ、「先進的な動きが徐々に現れてはいるが、そこで阻害要因となるのが、大企業による知財の吸い上げの問題である」と指摘。「大企業とスタートアップ企業との間の契約ガイドラインの策定に限らず、広く大企業による中小企業の知財・ノウハウの吸い上げをカバーするガイドラインの策定に、しっかりと取り組んでほしい」と注文を付けた。安倍首相は企業連携によるイノベーションを成功させるため、スタートアップ企業が大企業から一方的な契約上の取り決めを求められないよう、問題事例とその具体的改善の方向や独占禁止法の考え方を整理したガイドラインを作成すると表明した。
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