経済の現状認識と経済対策の考え方
○新型コロナウイルス感染症は内外経済に甚大な影響を与えている。世界経済は、戦後最大ともいうべき危機に直面している。わが国経済は、感染症拡大の影響により大幅に下押し、国難ともいうべき厳しい状況。先行きも、厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済をさらに下押しするリスクに十分注意が必要。
○「安心と成長の未来を拓(ひら)く総合経済対策」に加えて、新たに補正予算を編成し、前例にとらわれることなく、財政・金融・税制といったあらゆる政策手段を総動員することにより、思い切った規模の本経済対策を策定し、可及的速やかに実行に移す必要がある。
○第一は、感染症拡大の収束にめどがつくまでの「緊急支援フェーズ」、第二は、収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会変革の推進を図る「V字回復フェーズ」。時間軸を十分意識しながら、緊急事態宣言下での本経済対策の各施策を戦略的に実行。国民の命と健康と生活を守り抜くとの重大な決意で、感染症の影響をしのぎ、その後の経済のV字回復につなげ、日本経済を持続的な成長軌道へ戻すことを確実に成し遂げる。
○引き続き、内外における事態の収束までの期間と広がり、経済や国民生活への影響を注意深く見極めるとともに、各方面からの要望を踏まえ、必要に応じて、時機を逸することなく臨機応変かつ果断に対応。
緊急支援フェーズ
事態の早期収束に強力に取り組むとともに、その後の力強い回復の基盤を築くためにも、雇用と事業と生活を守り抜く段階
Ⅰ.感染拡大防止策と医療提供体制の整備および治療薬の開発
1.マスク・消毒液などの確保
2.検査体制の強化と感染の早期発見
3.医療提供体制の強化
4.治療薬・ワクチンの開発加速
5.帰国者などの受け入れ体制の強化
6.情報発信の充実
7.感染国への緊急支援に対する拠出などの国際協力
8.学校の臨時休業などを円滑に進めるための環境整備
Ⅱ.雇用の維持と事業の継続
1.雇用の維持
2.資金繰り対策
3.事業継続に困っている中小・小規模事業者などへの支援
4.生活に困っている世帯や個人への支援
5.税制措置
V字回復フェーズ
観光・運輸、飲食、イベントなど大幅に落ち込んだ消費の喚起と、デジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講じる段階
Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
1.観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント事業などに対する支援
2.地域経済の活性化
Ⅳ.強靱(きょうじん)な経済構造の構築
1.サプライチェーン改革
2.海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物・食品の輸出力の維持・強化および国内供給力の強化支援
3.リモート化などによるデジタル・トランスフォーメーションの加速
4.公共投資の早期執行など
Ⅴ.今後への備え:新たな予備費の創設
→本経済対策の全ての事項についての対応として、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに必要な事業を実施できるよう、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金(仮称)」を創設。
本対策の規模
■財政支出
総合経済対策(注1)9・8兆円程度、緊急対応策第1弾・第2弾(注2)0・5兆円程度、新たな追加分29・2兆円程度、合計39・5兆円程度
■事業規模
総合経済対策19・8兆円程度、緊急対応策第1弾・第2弾2・1兆円程度、新たな追加分86・4兆円程度、合計108・3兆円程度
(注1)「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(2019年12月5日閣議決定)のうち、今後効果が発現すると見込まれるもの。
(注2)「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」の第1弾(20年2月13日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)および第2弾(20年3月10日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)に係るもの。
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