日本商工会議所は3月20日、第129回通常会員総会を都内で開催し、全国381商工会議所から会頭・副会頭ら約950人が出席した。総会の冒頭にあいさつした三村会頭は、「海外経済に減速の兆しが見える中で、われわれが取り組むべきは、日本の成長する力を育て、自らの企業の成長力を強化していくこと」と強調。「来るべき新時代においても、中小企業と地域社会の発展を通じて、日本経済の持続的な成長を実現していくことが、商工会議所に課された使命」と述べ、各地商工会会議所によるさらなる活動強化を呼び掛けた。(関連記事2、3、4、5面に)
三村会頭は、日本経済の最大の課題として、人手不足とそれに伴う経営の持続性確保を指摘した。人手不足は、今後、一層の深刻化が予想されている。人材確保のために、中小企業は防衛的な賃上げを余儀なくされているが、中小企業の労働分配率は75%程度で、既に限られた収益の多くを人件費に充当しているのが実態だ。このため三村会頭は、「収益力の拡大を図り、付加価値を増大させない限り、経営の持続性は確保できない」と述べ、その解決策のポイントとして、生産性の向上、大企業と中小企業の収益格差の2点を挙げた。
生産性向上に向けては、「身の丈IoT」による業務改善、熟練技能などをIT・IoT、ロボット、AIなどに代替する取り組みについて、中小企業へのさらなる浸透に期待を寄せた。大企業と中小企業の収益格差については、「これからの大企業と中小企業は、サプライチェーン全体の中で、例えばさまざまなコストアップをおのおのが適切に負担する、あるいは、IT化など中小企業の生産性向上に大企業が協力するといった関係になっていくことが望ましい」と大企業と中小企業が協力し合った共存共栄を図ることが必要との認識を示した。
総会では、安倍晋三首相が来賓としてあいさつし、「全国津々浦々の中小・小規模事業者が元気になることなくして、アベノミクスの成功はない」と強調。下請け取引の改善、生産性向上、人手不足対策、事業承継など、引き続き中小企業の成長に向けた支援策を講じていく考えを示した。また、今年10月に予定されている消費税率引き上げへの対策として、キャッシュレス決済のさらなる普及に意欲を示した。また、世耕弘成経済産業大臣からのメッセージを磯﨑仁彦経済産業副大臣が代読した。
総会議事では、「2019年度事業計画(案)」「同収支予算(案)」が異議なく承認された。
最新号を紙面で読める!