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こうしてヒット商品は生まれた! ガトーラスク グーテ・デ・ロワ

ガトーラスク「グーテ・デ・ロワ」シリーズは全5種。(左奥から時計回りに)『グーテ・デ・ロワ プレミアム』『グーテ・デ・ロワ ホワイトチョコレート』『グーテ・デ・ロワ ソレイユ』『グーテ・デ・ロワ』『グーテ・デ・ロワ ソムリエ』

香ばしい香りのフランスパンに、上質なバターを使用して丁寧に仕上げたガトーラスク「グーテ・デ・ロワ」。創業110余年、パンづくり60年余りの歴史を持つ原田が、長年の研究と経験で極めた技術と素材を生かして完成させた逸品だ。美味極上と称されるラスクを求め、百貨店の菓子コーナーは連日行列ができ、盛況を博している。

創業以来の技術を生かしラスクづくりを決意

明治34年に和菓子店「松雪堂」として創業した原田。以来、和菓子づくりを家業としてきたが、戦後の食糧不足により砂糖の入手が困難になると、三代目の原田俊一さんが配給パンに着目し、パンの製造を始めた。当時は学校給食向けに製造するパンが主力だったという。

一般に、和菓子は盆や暮れの贈答品、あるいは観光土産としての需要が中心。観光資源が少ないまちで地域に根ざした菓子・パン店として営業していた原田だが、時代が変化し、ショッピングセンターやコンビニエンスストアが台頭したことで、生き残るための対策立案を余儀なくされた。

「季節に関係なく、地域や世代を超えて需要が広がる可能性があるものは何かを考えました」と振り返るのは、専務取締役の原田節子さん。「創業以来、築き上げてきた技術や機械を用い、先行投資が少なく、通年供給が可能で和菓子より日持ちするものとして注目したのがラスクでした」。

平成9年に商品化をスタート。当時の社員数はわずか14〜15人だった。

おいしさと素材に妥協しない姿勢が強み

パン屋がつくるラスクは珍しくない。しかし「余ったパンでラスクをつくるのではなく、おいしいラスクにするためのパンづくりから取り組みました」と節子さんが話すように、素材にも妥協しないことが原田の商品開発の強みだ。バターなど全ての原材料に徹底的にこだわり、試作と試食を重ねた。

開発に必要な設備投資は、共同経営の給食パン製造工場を持っていたことから最小限で済んだ。より安定した味を実現するため、機械の改良を重ねるなど生産ラインの整備にも労力を惜しまなかった。

「ラスクは材料がシンプルだからこそ難しい。ちょっとした配合や温度で味が変わってしまいます」

こうして、今や定番商品として不動の人気を誇るラスク『グーテ・デ・ロワ』(王様のおやつ)が完成し、平成12年1月1日に販売を開始する。「食べてもらえば分かってもらえます」と節子さんが自信を持って紹介するように、香ばしいフランスパンから焼き上げたサクッとした食感に、芳醇なバターの香りが楽しめる逸品だ。

グーテ・デ・ロワの発売を機に、原田は洋菓子部門を「ガトーフェスタ ハラダ」として展開。2年後にはラスク製造工場が完成した。

予想を上回るヒットで販売網を拡大

グーテ・デ・ロワは予想以上の反響を呼び、爆発的なヒット商品となった。遠方から買いに来る人が増え、15年に群馬県内の百貨店など3店舗に出店。17年から県外の百貨店にも出店し、販売網を徐々に拡大した。現在は東京、名古屋、大阪、福岡という大都市の百貨店にも出店し、店舗数は16を数える。

「売り上げの少ない夏場でも1日100万枚、冬場や年末年始など多いときには1日150万枚出荷します」

盆や年末だけでなく、クリスマスやバレンタインデーなど年間を通じてさまざまなイベントを実施している百貨店への出店は、新商品開発のきっかけにもなった。ホワイトデー向けの商品として『グーテ・デ・ロワ ホワイトチョコレート』を開発。クリーミーなホワイトチョコレートの味が人気を呼び、グーテ・デ・ロワに続くヒット商品となった。

「バレンタインデーに向けてラスクに合うチョコレートを探し続け、ようやく求めていた味に巡り合い商品化が実現しました」と節子さんが振り返るのは『グーテ・デ・ロワ プレミアム』だ。ガトーラスクを濃厚なミルクチョコレートで包み、金粉をちりばめることでゴージャスな雰囲気を生み出した。

また、フランスのメーカーと共同で開発したチョコレートを使用した『グーテ・デ・ロワ ソレイユ』(太陽王)は、表面に太陽が描かれている。商品の名に相応しい輝きを放つ仕上がりだ。

これまでにない味で新たなファンの獲得へ

出店地域が広がり、売り上げも順調にアップする中、昨年、第4のラスクが誕生した。節子さんの次男で常務取締役生産本部長の都司さんが企画し、新たなラスクの利用シーンを提案することを目的とした甘くないラスク『グーテ・デ・ロワ ソムリエ』だ。

「ワインに合うラスク」がコンセプトのグーテ・デ・ロワ ソムリエは、厳選したトリュフ、ポルチーニ、バジル、ナツメグ、ブラックペッパーを用い、チーズはイタリアのパルミジャーノ・レッジャーノを使用。高品質の素材へのこだわりが豊かな香りと奥行きのある味わいを生み、贅沢な大人の時間を演出する。

「それぞれ主張する味をどうまとめるか、試行錯誤を繰り返し完成させました。新たな層に向けて発信しようと、グラスにワインを注ぐボトルを描いた包装袋もデザインしました。新商品の開発に力を注げるのも、定番商品があるからこそだと思います」

原田は「お菓子を通じて人々の暮らしに感動を提供したい」という理念を掲げている。パッケージを広げ、袋から出したとき、さらに口に入れたその瞬間から食べ終わる余韻まで、一つの菓子で物語を紡ぐことで、至福の時間を届けたいと考えているのだ。

「おいしいだけでは当たり前。総合的な商品力を考えると、材料や製法が50%ならば、残りの50%はネーミングやパッケージなど商品の見せ方が占めます」と節子さん。このこだわりこそ、感動を生み出すレシピなのだ。

時代の変化に合わせ、一つのヒット商品が生まれたからといってその成功体験に甘んじることなく、おいしさへの強いこだわりと探究心で商品開発を続けてきた原田。こうした姿勢が、さらなるヒット商品を生み出したのだろう。

会社データ

社名:株式会社原田・ガトーフェスタ ハラダ

住所:群馬県高崎市新町1207

代表者:原田義人 代表取締役

創業:明治34年

資本金:1000万円

従業員:950人

※月刊石垣2014年3月号に掲載された記事です。

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