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「下町育ちの再建王」の経営指南 今だからこそ、ワークライフバランスを考える

以前、26歳の若手社員から「小山さんはワークライフバランスをどう考えていますか」と質問されたことがありました。私は「君はワークライフバランスを一年のスパンで考えているのか?」と聞き返しました。

仕事とプライベートの割合を問うこのワークライフバランスという発想はクセモノで、新米ビジネスマンは言葉に乗せられて、仕事に対する姿勢を間違ってしまいます。

人の能力は、例えば筋肉と同じです。学生時代に寝る間も惜しんで受験勉強をしたことで、多くの日本人は集中力やじっくりと物を考えるための能力を身につけています。その能力という筋肉が落ちないよう、勉強を続け、社会人になったら仕事に打ち込む。そうした人が、40歳になった頃、仕事以外に、プライベートの充実を考え始める。これがワークライフバランスだと私は思うのです。

私は入社してから15年の間、年間16日しか休みを取りませんでした。その時代があったからこそ中途採用で船井総研の社長になることができたのです。今の労基法からすると完全にNGですが、会社で働くことができなくても、家で企画書を書き、仕事に役立つ勉強をするなど、自分の自由になる時間が多い分、可能性が開かれています。

ある上場企業は、時間に縛られずに仕事をしたいと考える正社員のために、契約社員になることができる制度を導入しています。契約社員であれば、時間に縛られずにやりたいだけ仕事ができる、という発想です。やりたいことをするために、今はここまで自由な選択肢がある時代なのです。

量が質を生む、という言葉がありますが、経験を重ねて熟練してくると、質が変わります。私の場合は予想以上の事が起きたのです。仕事に打ち込むうちに、段取りや発想、勘働きのスピードが非常に速くなり、短い時間で指導ができるようになっていったのです。コンサルタントとして結果を出し続けてきたので、仕事のオファーは次から次に入りました。気がついてみると私は、トップコンサルタントになっていました。質が量を生んだのです。

ある時期徹底して仕事に打ち込んだ結果、60歳からは自分らしく時間が使えるようになりました。だから「ワークライフバランスは40年のスパンで考えるもの」と、若い方に伝えたいのです。

全世界で蔓延(まんえん)している新型コロナウイルス感染症の問題は未曽有の経験ですが、必ずや終息します。長いスパンで捉え、今は筋力を蓄え次の手の準備期間と考える。道は自ずと開けます。今ある時間を有意義に使ってください。

小山 政彦(こやま・まさひこ) 株式会社 風土 代表取締役会長 (前 船井総合研究所 代表取締役会長) 1947年、東京生まれ。開成高校卒。早稲田大学理工学部数学科卒業後、実家のディスカウントストア経営に携わる。84年、船井総合研究所に入社。6年後には売り上げ3億円のNo.1コンサルタントになる。2000年の社長就任後は大証2部から東証1部上場、離職率20%台を6%までに改善、賞与支給No.1企業など経営者としても手腕を振るう。10年には代表取締役会長に就任。13年3月をもって退任し、現在は㈱風?代表取締役会長を務める。著書に『ベタ惚れさせるマネージメント』(講談社)、『9割の会社は人材育成で決まる!』(中経出版)など多数

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TEL:03-5423-2323

担当:髙橋

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