平成16年に世界遺産登録された「熊野」。私の街・和歌山県新宮市は、県南部と三重県南部の4市10町1村にまたがっております熊野地域の中心都市の一つです。
熊野は、かつて中世には熊野三山信仰によって華やかな都の文化の洗礼を受け、江戸時代には炭と熊野材を江戸に送り出す代わりに、江戸の最新の文物が直接流入し、ハイカラ好きな新宮人気質が形作られました。
また、戦後生まれの初めての芥川賞作家・中上健次は、故郷の熊野・新宮をこよなく愛し、「霊地熊野は、真の人間を生み、育て、慈しみを与えてくれる所である」と。そして、「熊野から目を向けるべきは国内よりもむしろ世界だ」と熊野の目指すべき未来を熱く語り続けました。
そんな熊野・新宮の世界遺産・熊野川に関連する商材販売の船具店からスタートした私どもの会社・関三吉商店は、その後、建設管工資材の販売店として90年あまりにわたり当地でお世話になっております。
建設資材の販売では、すばやい納期で、安定的に、また適正価格での販売を心がけております。また私のモットーであります『天分を天命に活かす』の観点からは、弊社の資材提供の「天分」を、近年発生頻度が急激に増加している台風・集中豪雨、特に津波を伴う巨大地震の発生時の「天命」にいかにお役に立てるかが最大の使命であります。
弊社は、資材販売以外では今年18回大会を開催しました「奥熊野いだ天ウルトラマラソン」を主催しております。世界遺産の那智の滝をスタートし、同じく世界遺産の補陀洛山寺がゴール。〝神に見送られ仏に迎えられるウルトラマラソン〟をキャッチフレーズに一人でも多くのランナーに熊野での一味違ったランを楽しんでもらえますよう社員一丸となって運営にあたっております。
新宮商工会議所の歴史は古く、前身の商法会議所は明治15年に設立されました。また、木材産業最盛期の財力を活用し、当地では新宮鉄道や新宮電灯などの会社が関西でも初期の段階で設立され、ハイカラ好きの新宮人の欲求を満たしておりました。
現在は地方経済特有の問題を抱えておりますが、これからは、かつての輝きを取り戻すべく天分「熊野」を最大限活かせる創意・工夫を積み重ねながら、地元経済界挙げて再生に取り組みたいと思っております。
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