子どもの成長にふさわしい遊具を
株式会社 オフィスハート 代表取締役 土屋 佳子
買い与えたいおもちゃがない
息子に買い与えたいおもちゃがない! という経験をしたのが今から15年ほど前。当時の私は日本のおもちゃを生み出す現場で開発の仕事をしていました。そこから見えたのは、日本のおもちゃの大半は売るためのもので、子どもが遊ぶためのものではないということでした。しかし、子どもと遊びは切り離すことができません。子どもが遊ばない日は一日もなく遊びからしか学べないこともたくさんあります。その子どもに成長にふさわしい遊具があるべきではないかと考えたのです。
子どもの遊びにふさわしいおもちゃを届け、本当の意味で喜ばれる仕事をしたいと思いました。しかし、当時の会社でそれを実現することは難しかったため創業したのです。創業時に大きな影響を与えてくれたのはぬいぐるみの老舗「シュタイフ社」でした。小児麻痺で左手しか動かなかった女性が、車いすでぬいぐるみをつくり始め、テディベアを世に送り出し世界中の人を魅了しているドイツのメーカーです。「子どもには最良のものこそふさわしい」というモットーで創業以来130年以上も手づくりでぬいぐるみをつくっています。
私はこのブランドの日本市場拡大を担当していたため、おもちゃに対する文化の違いを目の当たりにしました。日本の子どもにもテレビ番組と連動した使い捨てのおもちゃだけでなく、心に響く、思い出に残る、大切なおもちゃで遊んでほしい……と考えたのです。
その後、拠点を東京から沖縄に移しました。沖縄は子どもが多いにもかかわらず、県外に比べ子どもが安心して遊べる施設が少なく成長にふさわしい育成環境の整備が遅れていたのです。そこで、木のおもちゃで「遊べて」「買える」施設の運営を始めました。「木のおもちゃを試して遊べるおもちゃ広場」と「木のおもちゃが買えるセレクトショップ」を併設しオープン。「子どもの遊びにふさわしいもの」という絶対的な視点と親が買い与えるのに無理のない価格を厳選してきたことから利用者は年々増加しています。
よいものと遊ぶ力を与えたい
弊社の求めるスキルを持つお母さんで保育園に子どもを預けることができない方に、就労のチャンスを与えるために、子連れ出勤制度を導入し、求人を行っています。これにより「スキルの高い子育てママ」や「仕事に対する意識の高いママ」など有能な人材を採用することに成功しました。さらに業務効率やサービスの向上にもつながっています。
東京から沖縄に移住してきた私ですが、この地で私の力を買っていただいたことに感謝しています。これからも、「0-3歳によいおもちゃを。10歳までに遊ぶ力を」というわが社のモットーにおもちゃは子どもの人格形成にとって重要な要素であると捉え、子どもの遊ぶ力を育むおもちゃを提供したいです。また、自社製品の開発やおもちゃのリース事業なども展開することで沖縄の地域事業に積極的に参画し、より一層頑張ります。
会社データ
社名:株式会社 オフィスハート
所在地:沖縄県浦添市
創業:平成19年
事業概要:製造・卸売業(玩具・雑貨の企画・販売)
※月刊石垣2016年5月号に掲載された記事です。
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