Q 当社はチェーンの飲食店です。先日、アルバイト社員が職場で悪質ないたずらをした写真が、インターネット上で公開されるという事件が起きました。そのアルバイト社員の勤務店はもちろんのこと、チェーン店全体のイメージダウンにつながりかねません。本人を含めてどのような対応が必要でしょうか?
A まずは公開された情報の削除に努め、同時に社内調査を進めます。本人への処分は、社内調査の結果を踏まえ、社内規程に基づいて実施します。損害が大きい場合は、損害賠償や刑事責任を問うこともあります。また、社外に影響がある場合は、マスコミ対応が必要になることもあります。再発を防止するため、雇用時に、会社に損害を与えた場合の解雇条件などもきちんと説明しておくことが大切です。
新しい企業リスク
昨今、アルバイト社員がいたずら写真をインターネットに投稿し、それに対する苦情や非難が殺到。中には休業や閉店に追い込まれる事態も起こっています。投稿の多くは個人で利用しているツイッターやFacebookなどのソーシャルメディア(以下SM)からです。本人は軽い気持ちでやっていますが、投稿から本人やアルバイト先は容易に特定されてしまいます。内容によっては、すぐにニュースで報道されることから、新しい企業リスクになりつつあります。
速やかに削除し影響範囲を調べる
まずは、投稿の内容を確認します。投稿者が特定できれば、本人に削除させます。難しい場合は、SMの運営者に削除を依頼します。また、他の従業員が連鎖反応でさらに書き込まないように促します。
次に社内調査で事実関係を把握します。担当者は、5W1Hを意識し、概要を整理します。他の掲示板への転載や、投稿に至った経緯・動機を調査し、社外への影響の有無を判断します。影響がある場合は、ホームページなどで事件内容、お詫びを公表します。公表後はマスコミから問い合わせがあります。組織の関与度など、問われそうな内容は事前に整理しておき、伝えるのは確実に把握できた事実だけにします。本人の処分は、調査完了後に過去のケースも参照し社内規程に基づいて厳格に行いましょう。
重要な問題であることを社内全体に認識させる
再発防止策でまず必要なのは、行動規範の整備です。SMに対する企業としての方針や従業員向けの行動規範を「ソーシャルメディア・ポリシー」として定めましょう。また、やってはいけない具体例をガイドラインなどにまとめて示します。社員が企業の公式アカウントで情報発信する際のルールや、個人で利用する場合のルールにも触れておくとよいでしょう。
次に、違反者に対して厳格な懲戒処分を行うことを就業規則に明記します。ここでは罰則を明確にうたい抑止効果を狙います。
さらに、社内教育を実施し、社員に周知徹底します。実例をあげて、重要性や企業が受けるインパクト、当事者の処分などを具体的に説明すると効果があるでしょう。アルバイト社員にも会社全体に影響がある重要な問題と理解させることが大切です。
アルバイト社員やパート社員の採用や労務管理は各現場に任せ、労働条件を明確に取り決めずに勤務させている場合もあります。今回のことを踏まえ、労働契約書や労働条件通知書には会社に損害を与えた場合などを想定した解雇事由を明示し、契約時に対面で伝えるようにしましょう。また、減給処分とする場合の適用条件と減給割合は、就業規則および労働契約書に明記しておくことが大切です。
(中小企業診断士・竹内 敏則)
事実関係と影響範囲を調べる
1.投稿内容を確認する
2.事実関係を把握する
3.社外への影響の有無を判断し、影響がある場合は、HPなどで事件内容とお詫びを公表する
4.調査完了後に、いたずらをした本人を処分する
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