ロック式ピアスキャッチで5000年も未解決の問題に終止符
株式会社Chrysmela 代表取締役 菊永 英里
「え?ピアスってなくしてた時代があったの?」という未来へ
紛失のストレスをなくしおしゃれを楽しんでほしい
24歳のとき、彼からもらったピアスをなくし、「お前がガサツだから」と言われて深い憤りを感じました。ピアスはなくなるものだと思い、売り言葉に買い言葉でこう言い放ちました。「私じゃなくて、金具が悪いと思う!」。余計怒られたわけですが、これがロック式ピアスキャッチの図面を描くきっかけになりました。
ビアスは紀元前3000年からあったという記述が残されているのですが、5000年経った今なお、ピアスの紛失率は86%を超えています。そして、ピアスの購入価格は3000円以下のものを買うという人が50%を超えます。その理由として、「ピアスはなくしやすいから」ということがありました。ピアスはおしゃれを楽しむべきもののはずですが、なくすのが前提となっていたのです。
しかし、ロック式ピアスキャッチなら問題は解決可能です。私たちは、外れないピアスキャッチを販売しているだけでなく、ピアスの紛失を防ぐことでストレスをなくし、おしゃれへの自由を取り戻していただくための仕掛けをお届けしていると考えています。
ジュエリー史上最高の発明品という評価を獲得
16歳のとき、電車に乗れない経験から電車に乗らなくていい人生を送ろうと起業を決意しました。そして、事業計画書を書いて銀行員の父に提出。しかし、その事業計画書は残念ながら父に「全く使い物にならない」と言われてお蔵入りになり、それから9年間、何で起業しようかを考え続けました。
そして、ピアスをなくして彼とけんかをしたときに、「私が解決すべき問題はこれだ!」と思いつき、仕事の傍ら図面を描き、製造先を探し始めたのです。このビジネスプランは父に認められました。
2005年の夏に図面を描き始めてから、販売まで3年の期間が掛かりましたが、全くつらいと感じませんでした。また、一緒にものをつくり上げてくれる最良のパートナーと出会うことができた時期でもありました。お金はありませんでしたが、5000年も解決されていない問題を自分が解決するんだという希望にあふれていたのです。
ピアスをなくさないために、ピアスキャッチをロック式に変えるというのは今までになかったことなので、数千円もするピアスキャッチを買うことを理解してもらうまでには時間が掛かりました。しかし、08年7月に販売開始して以来、国内では800以上の店舗で計20万ペアを販売しています。
私たちは、ロック式ピアスキャッチが普及することにより、世界中のピアスユーザーが「え? ピアスってなくしてた時代があったの?」と言ってくれるように広めていきたいと考えています。実際、展開を始めたアメリカでは評価が非常に高く、週刊誌「People」のウェブサイトでは「ジュエリー史上最高の発明品」として紹介されました。まだ小さな評価ですが、手応えは感じています。
会社データ
社名:株式会社Chrysmela
所在地:東京都文京区
創業:平成19年
事業概要:製造卸売業(ロック式ピアス留め具の製造、卸売)
※月刊石垣2015年6月号に掲載された記事です。
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