ポイント還元事業全国で説明会
中小企業・小規模事業者(中小小売店など)の「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元制度)」への参加に向けて、同事業の制度設計や周知広報の計画の詳細が固まってきました。本年5月13日からキャッシュレス決済事業者の本登録(補助金の交付決定)が開始され、全国127社(5月24日時点)が登録を完了しました。
一方、中小小売店等の加盟店登録の手続きも5月16日から開始されています。現在、全国各地で、中小小売店などの加盟店登録に向けた、制度の活用や具体的な参加手続きなどに関する説明会が開催されています。説明会の日程や開催会場は、専用ウェブサイト (https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_todouhuken_ichiran.pdf)から確認いただき、事前の参加登録をお願いします。
低くなる導入のハードル
今回は、ポイント還元制度の対象となる決済手段の一つ「コード決済」(QRコードやバーコードとスマホアプリを用いた決済手段の総称)について、その特徴や導入を検討いただく際に考慮すべき事項を紹介していきます。
コード決済は、近年、多様な業種から参入が相次いでおり、各社の激しい競争の結果、店舗向けの魅力的なサービス(決済手数料ゼロ、端末代不要、翌日入金など)が誕生しています。こうした環境の下で、店舗のキャッシュレス決済導入に対する三つのハードル(導入コスト、運用・維持コスト、資金繰り)が低くなってきており、今後ますます、店舗の規模を問わずキャッシュレス決済が広く普及していくことに期待が持てます。
そもそも「コード決済サービス」とは、どのようなものなのでしょうか。①消費者が自分のスマホ画面上にQRコードまたはバーコードを表示させ、店舗側がそれを読み込む方式である「消費者提示型(CPM)」と、②店舗側がタブレットやPOS画面、またはステッカーや紙媒体などでQRコードを提示し、消費者が自分のスマホアプリのカメラで読み込む「店舗提示型(MPM)」に大別されます。
さらに①と②は、それぞれ二つのパターンに分かれます。「①消費者提示型(CPM)」は、コンビニや家電量販店を中心に、POS端末につながっているバーコードリーダーで消費者のスマホ画面上に表示されるバーコードを読み取る「CPM(バーコード)」方式と、同じく消費者のスマホ画面上に表示されるQRコードを店舗側の専用決済端末で読み取る「CPM(QRコード)」方式の二種類があります。一方、「②店舗提示型(MPM)」は、決済の都度、店舗側で金額情報を含むQRコードを生成して店舗のタブレットやPOS画面等に表示する「動的」方式と、一つのQRコードをステッカーや紙媒体などに印刷・掲示して継続的に使用する「静的」方式の二種類があります。
店舗では、既存のインフラ(端末、コードリーダー、通信環境など)を有効活用できないか、導入コストやオペレーション負荷、その対価として見込めるメリットなどを考慮して、どの決済サービスを、どのコード決済のパターンで導入するかを検討してもらえればと思います。
サービスの乱立規格統一などで対策
特に昨年から、多様な業種の参入や利用者拡大に向けた大々的な宣伝広告・キャンペーンを打ち出しているところもあり、消費者のコード決済に対する認知・利用は大幅に進みつつあると考えられます。ただし、一部の消費者や店舗から、「あまりに選択肢(提供サービス)が多いため、かえってどれを選択すべきか迷う」「次から次へと新たに誕生する決済サービス内容に店舗側が即時対応していくのは困難である」といった指摘がなされているのも事実です。
当協議会では、キャッシュレス決済事業者間の競争によって「決済手数料ゼロ」など、より良いサービスが提供されることを歓迎しつつも、サービスの乱立がキャッシュレス普及の阻害要因とならないよう、技術仕様の標準ガイドライン整備に取り組んできました。
具体的には、消費者提示型(CPM)については「事業者識別コード」という業界横断的に一意にキャッシュレス決済事業者を特定できる仕様を導入するとともに、店舗提示型(MPM)については「一つのQRコードを複数のキャッシュレス決済事業者で規格統一」する仕様を検討してきました(2019年8月に「JPQR」として稼働予定)。加えて、決済現場での混乱を避けるため、「統一用語集」の公表も行っています。
こうした技術仕様の統一により、中小小売店などでは新たなキャッシュレス決済事業者の追加契約も容易となり、消費者側では自分の使いたいどの決済サービスを用いても支払える環境が整っていきます。 (一般社団法人キャッシュレス推進協議会)
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