人は何よりもまず自分に関心がある。自分以外の、自分を取り巻くすべてのものが「世界」である。世界は分からないことだらけだが、それをどう認識するか。これを世界観と呼ぶ。その裏付けのないところに思想はない。新型コロナウイルス肺炎の蔓延をどう終息させ、疲弊した社会をいかに再建するか。政治家にも世界観が問われる。
▼感染拡大を収束させるのは政府の仕事である。だから各国政府は都市封鎖さえ辞さず緊急事態を宣し、国民に我慢を強いる代わりに収束への道筋を示す。前提になるのが真実を知る努力である。見えない感染の広がりを確かなデータで把握する。数値をベースに、確固たる世界観に基づいて政策を決めれば国民も納得する。だから医療崩壊を回避することと、検査不足など国民の不安に応えることとは本来両立するはずだ。
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