コラム石垣 2016年8月11日号 中山文麿

6月23日、英国は欧州連合(EU)からの離脱を決めた。この国民投票はキャメロン首相が3年前に保守党内の求心力を高めるために提案したもので法的強制力はない。しかし、彼の試みは誤算で、「EUの終わりの始まり」とか、「英国の崩壊の序曲」とかささやかれている。

▼英国がEUから離脱するには、リスボン条約第50条によってEUに対して離脱の通告をしなければならない。メイ首相は来年以降に通知するとしておりEUとの離脱交渉の開始は相当遅れそうだ。

▼EUは英国の離脱が他のEU諸国に波及するいわゆる離脱ドミノを恐れている。従って、ドイツのメルケル首相は英国との離脱交渉において「英国にいいとこ取りはさせない」と警告している。

▼ところで、英国の離脱は一部のEU諸国にとって好都合という意見もある。今回、英国に出ていってもらえればEUの拡大と深化のうち、深化について原加盟国6カ国が預金保険機構を設置して銀行同盟を作ったり、財政政策の共通化などの深化政策が進めやすくなる。

▼また、過去フランスの支援を受けてイングランドと戦ったスコットランドはEUに残りたいとして、再び分離独立の機会を伺うだろう。大英帝国の国旗であるユニオンジャックからスコットランドの白いタスキのX印の模様が消えるかもしれない。

▼国民投票というのはポピュリズムに流されやすい面がある。英国は議会を解散するのに3分の2以上の議員の賛成が必要である。今回の国民投票についても3分の2の発議要件とするべきだった。第二次世界大戦直後、英国の首相となったアトリー氏は代議制を取る英国はヒトラーが行ったような国民投票はやらないと言っていたのに……。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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