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コラム石垣 2015年7月1日号 中山文麿

小型の無人飛行機のドローンの使用を、航空法の改正などにより規制しようとする動きがある。確かに、首相官邸の屋上にドローンが飛ばされたり、その使い方に問題がある事例がいくつか続いた。

▼ドローンは雄蜂の羽の音に名前の由来があり、アメリカの軍事技術から産まれた画期的な小型ヘリである。米調査会社によると14年の世界市場規模は64億ドルで、89%は軍事用とのことである。

▼ドローンを利用して空撮された現場の映像は鳥瞰(ちょうかん)図的で極めて分かりやすい。昨年広島で起こった土砂災害や5月のネパールの大地震では被害状況が俯瞰(ふかん)され、復旧に役立った。

▼また、米アマゾン社は将来GPSを積み込んだドローンを利用した宅配を検討しているほか、警備会社が監視や警備に活用したり、土木会社が手の届かない橋やトンネル上部などのインフラの老朽状況を点検・監視するのにも便利である。

▼ただ、問題なのはドローンが個人のプライバシーを侵害したり、テロなどの犯罪に使われる可能性がある点である。実際、中東のイスラム国は自分たちの勢力圏をドローンで空撮し、インターネットで配信している。さらに、サリンなどの化学兵器を搭載して上空から散布する危険性もある。

▼現在、ドローンには模型飛行機の規制しか適用されない。政府は新たに皇居や首相官邸など重要施設の上空を飛行禁止にしようとしている。それは当然のことながら、ドローンは空の産業革命ともいわれ、多様な用途や広範な技術革新の可能性が秘められている。従って、あまりに過度の規制に走り、産業界の利用範囲を制限したり、開発の意欲をそぐことの無いように慎重に対応してもらいたい。

(中山文麿・政治経済社会研究所代表)

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