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コラム石垣 2015年4月11日号 丁野朗

各地で「地域の物語」づくりが盛んである。その背景には、まち・ひと・しごと創生本部が策定した「長期ビジョン」と「総合戦略」、3月末の「地域再生法改正案」の閣議決定などが背景にあり、今後、「地方版」総合戦略の策定が急がれているからである。

▼総合戦略には、地域産業の競争力強化から地方移住の推進、若年者雇用の創出、地域連携による中枢都市圏の形成、さらには「地域資源活用による地域ブランド力の強化」など、多方面にわたる戦略が盛り込まれている。その重要な手法の一つが、地域の物語(ストーリー)編集というわけだ。

▼地域の「ブランド化戦略」は、すでに数多くの取り組みが行われてきた。だが、その多くは、いわゆるブランド産品の創出など、モノのブランドで、地域そのもののブランディングには必ずしもつながってはいなかった。今回は、文字通り地域それ自体のブランド化と、そのシンボルとしての物語づくりである。

▼こうした動きをけん引したのが、経済産業省が昨年から取り組んできた「地域ストーリーづくり研究会」である。その成果を活用した新たな「地域資源活用ネットワーク形成支援事業」も動き出している。

▼また、文化庁が本年度から創設する「日本遺産」(Japan Heritage)の認定事業も、個々の資源を越えて、これらを組み合わせた地域の物語を認定の対象としている。地域の際立った歴史的特徴・特色を示す物語づくりと、これを活用した地域の未来像(ビジョン)の策定が核となる。

▼観光行動は、地域の優れた物語を消費し、その物語を追体験する「体験消費」である。これら物語づくりの手法は、地域の新たな観光戦略としても重要である。

(公益社団法人日本観光振興協会総合研究所長・丁野朗)

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