中小企業庁はこのほど、「平成28年中小企業の雇用状況に関する調査」を取りまとめ、公表した。28年度にベースアップや賞与・一時金の増額など何らかの賃上げ(常用労働者1人当たり平均賃金の引き上げ)を行った(予定含む)企業の割合は63・9%と、27年度の61・4%に対し2・5ポイント増加した。調査は6月に実施し、回答企業数は7024社だった。
主な理由は採用と引き留め
28年度に賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した企業のうち、引き上げ方法として月給の引き上げを行った企業は96・3%、賞与・一時金の増額を実施した企業は48・9%だった。
賃金を「引き上げる/引き上げた」と回答した理由は、「人材の採用・従業員の引き留めの必要性」が47・6%で最も多くなっており、中小企業の人手不足感がうかがえる。次いで「業績回復・向上」が32・6%となった。
賃金を「引き上げない/引き上げていない」と回答した理由は、「業績回復・向上が不十分」が88・3%で最多。賃上げを実施していない企業では、業績が低迷していることが賃上げを妨げている状況がうかがえる。次いで、「賃金より従業員の雇用維持を優先」(25・6%)、「他社製品・サービスとの競争激化」(13・6%)、「原油・原材料価格の高騰」(12・7%)が続いている。
企業規模で対応に違い
28年度に月給の引き上げを「実施する/実施した」とする企業の割合について、従業員規模別に見ると、27年度比で全ての規模において増加。1~20人の企業においては、39・7%(4・2ポイント増)、21~100人の企業においては、70・2%(6・3ポイント増)、100人超の企業においては、78・4%(4・1ポイント増)となっており、従業員規模が大きくなるほど割合が大きくなっている。
28年度に賞与・一時金の増額を「実施する/した」とする企業の割合について、従業員規模別に見ると、月給と同様に27年度比で全ての規模において増加。1~20人の企業においては、21・1%(0・8ポイント増)、21~100人の企業においては、37・0%(3・3ポイント増)、100人超の企業においては、37・1%(0・5ポイント増)となっている。
人員増は中途採用で対応
28年度に「人員を増やした/増やす予定」と回答した企業の割合は53・0%と、27年度の45・8%に対し7・2ポイント増加した。人員増の方法としては、「正規雇用労働者を中途採用で増やした」(66・5%)が最も多く、中途採用による人員増加を実施している企業が多いことがうかがえる。「正規雇用労働者を新卒採用で増やした/増やす予定」(52・5%)、「非正規雇用労働者を増やした/増やす予定」(21・8%)が後に続く。
常用労働者および非正規社員のキャリアアップ、意欲や能力を引き出す主な取り組みなどについて、27年度以降に導入・拡充したもの(予定を含む)としては、常用労働者については「意欲や能力を引き出す取り組み(資格取得、技能検定の受験料補助など)」(35・9%)が最も多い。また、非正規社員については「報酬面での改善」(13・0%)が最も多い結果となった。
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