日本商工会議所は1日、「働き方改革関連施策に関する調査」の結果を取りまとめた。政府が提出を予定している働き方改革関連法案では、時間外労働の上限を原則月45時間・年360時間、特例の場合は年720時間とするなどのルールが設けられる予定。同調査では、こうした新たな時間外労働の上限規制が導入された場合の影響について、20・5%の企業が「新たな上限規制に抵触する労働者がいる」と回答した。調査は昨年11月から今年1月にかけて実施し、全国の中小企業1777社から回答を得た。
関連法案は当初、昨年秋の臨時国会で審議される予定だったが先送りされ、今年の通常国会での審議が予定されている。同調査では、法案成立が今年の春から夏ごろと当初予定よりも半年ほど遅れた場合の施行時期について、法案成立の時期が後ずれしたとしても「法案通りの施行時期で問題ない」とする回答が44・5%で最も多かった。一方、「成立が後ずれした期間と同様に、施行時期を遅らせるべき(26・7%)」、「成立が後ずれした期間を超えて、施行時期を遅らせるべき(16・0%)」を合計すると42・7%となり、施行時期を遅らせるべきと回答した企業も4割を超えた。
また、上限規制に抵触する労働者がいると回答した企業に限ると、「成立が後ずれした期間を超えて、施行時期を遅らせるべき」が36・3%と最も多く、次いで「成立が後ずれした期間と同様に、施行時期を遅らせるべき」が34・3%を占めた。これらを合計すると70・6%となり、施行時期を遅らせるべきと回答した企業は7割に達した。
同一労働同一賃金に関しては、同一労働同一賃金制度の対象となりうる非正規社員の有無について、「対象となりそうな非正規社員がいる」と回答した企業は36・0%となった。関連する3法(改正パートタイム労働法、改正労働契約法、改正派遣法)の施行時期については、「成立が後ずれした期間と同様に、施行時期を遅らせるべき」が32・9%で最も多く、「成立が後ずれした期間を超えて、施行時期を遅らせるべき」(18・9%)と合わせると51・8%となり、施行時期を遅らせるべきと回答した企業は5割を超えた。
また、対象となりそうな非正規社員がいると回答した企業に限ると、「成立が後ずれした期間と同様に、施行時期を遅らせるべき」が40・2%と最も多く、次いで「成立が後ずれした期間を超えて、施行時期を遅らせるべき」が27・5%を占めた。これらを合計すると67・7%となり、施行時期を遅らせるべきと回答した企業は約7割に達した。
今回のアンケート調査を基に、日商は1日に開催された自民党の働き方改革関連法案に関するヒアリングで、施行期日の延期、制度の周知や中小企業への各種支援策などを要望した。また、日商の三村明夫会頭は同日の記者会見で、「仮に大企業と中小企業で施行期日が1年ずれた場合、施行までは中小企業は残業ができるということになるが、大企業から中小企業に過大な負担が掛かるようなことはやめてほしい」とくぎを刺した。
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