富岡商工会議所(群馬県)はこのほど、地元企業38社とともに富岡製糸場が創業期に使用していた蒸気機関「ブリュナエンジン」の実物大レプリカを完成させた。設計段階から3年半の時間を掛けて復活したブリュナエンジンは、全長3・8m、奥行き2・4m。同地域のものづくりのシンボルとして、市内工業界の活性化とともに、今後、観光への活用も検討する。
富岡製糸場は明治5(1872)年、日本初の官営製糸工場として創業した。平成24年、その富岡製糸場の世界遺産登録への機運が高まる中、市内の工業活性化を図ろうと、同所では委員会を立ち上げた。活動テーマとして、富岡製糸場が操業時に使用していた「ブリュナエンジン」の復活を掲げ、3年半の年月を費やし、ついにこのたび完成に至った。
委員会では、今も当時の現物が所蔵されている愛知県犬山市の博物館「明治村」を視察し設計を行い、試行錯誤を繰り返しながら、参加各社の技術を生かしてエンジンの製作を行った。実際に設計などに携わった委員会メンバーは、「普段は連携することが少ない工業界だが、当時の技術が結集されたブリュナエンジンの復活を通じて一致団結できた。また、技術者として勉強する部分も多かった」と話している。
同所は、「事業を通じて地域の工業事業者の自信につながった。今後、完成したブリュナエンジンを富岡製糸場に設置するための後押しを図っていきたい」と話している。
最新号を紙面で読める!