わが国経済の好循環を実現するためには、「下請等中小企業」の取引条件を改善することが重要です。本コーナーでは、価格交渉力の強化に向けて、どのような取引行為が親事業者の法令違反に該当する恐れがあるのかなどについて解説します。今回は「大量発注を前提とした単価設定」ついてご紹介します。
大量発注を前提とした価格で受注した場合の対応は?
大量発注を前提とした見積りに基づいて取引単価を設定したにもかかわらず、見積り時よりも少ない数量を見積り時の予定単価で発注することは、下請代金支払遅延等防止法(下請法)や独占禁止法に違反する恐れがあります。
【チェックポイント】
□当初の大量発注を前提とした見積り時の数量から発注数量が大幅に減ったにもかかわらず、見積り時の単価で発注されて
いませんか。
□見積り時に約束した発注ロット数を無視し、発注者の都合で少ないロットが発注されていませんか。
【相談事例】
Q.取引先から単価の決定に当たって3個、個および個製作する場合の見積書を求められました。提出後、取引先は個製作する場合の単価で3個発注してきました。当該単価は、3個製作する場合の通常の対価を大幅に下回るものです。どのように取引先と交渉をしたらよいでしょうか。
A.発注時の納入見込み数が見積り時に比べて大幅に減少する場合は、合理的な単価を再設定することが重要です。留意すべき点は、①見積価格の前提となる発注数量を明確にし、発注数量が一定水準以上に変動した場合は、単価を再設定する旨を見積書に記載すること、②発注ロット数に応じた単価で見積りを取得し、見積り時の段階で発注ロット数ごとの価格を取り決めること、③合意に際しては、「日時」「場所」「担当者(自社・取引先双方)」「方法(対面・電話など)」や交渉経緯などを書面(議事録など)に残すこと、です。
【個別相談指導のご案内】
〇専門家が相談企業へ出向いて、取引先との価格交渉を行う際のノウハウなどについて指導します(1回の指導は最大6時間まで。費用は3回まで無料)。
〇詳細は(公財)全国中小企業取引振興協会「価格交渉サポート相談室」へ。
TEL:0120-735-888
http://www.zenkyo.or.jp/kakakusupport/index.htm
提供
公益財団法人 全国中小企業振興機関協会
下請取引適正化の推進を目的に、全国48カ所に設置された「下請かけこみ寺」を中小企業庁の委託により運営するなど、中小企業支援機関として各種事業を実施しています。http://www.zenkyo.or.jp
最新号を紙面で読める!